恋する惑星は何回も観たけど天使の涙は1回しか観た記憶がない。内容も朧げだったけど、何十年越しかの2回目でカーウァイ作品でもかなり好きかもと気づいた。
散漫で緩急が激しくて気持ちが追いつかないのにディティールが突き刺さる。
第一芬蘭館の細長い部屋、エージェントミッシェル・リーが触れるテクスチャが官能的で哀しくなる。壁紙やカーテンはもちろんだけどあらゆる素材がそれぞれの関係性を隔てているのに、触れることでいない人を感じる。
モウの父親のベッドのシーツ、ヤンが「肩を貸して」と顔をうずめるシャツ、オレンジ色の髪の女が戯れる店先のビニールのれん。おしゃれとかスタイリッシュに包まれる温かみが切ないほど愛しい。
重慶大廈のモウと父親のシーンがものすごく好きだなぁ。スターフェリー乗り場で親切にしてくれたおじさんを思い出す。
そしてラストの中環地下トンネルを疾走するバイクと「Only You」
セントラルのビル群を見上げるカメラ。
私も見ていた。
そこに居た。
何度もすれ違った。
そう思える映画だ。