ブタブタ

ブエノスアイレス 4Kレストア版のブタブタのレビュー・感想・評価

4.0
90年代の思い出と言えばバブルが崩壊しある種、ひとつの時代の節目というか文化やエンターテインメントにおいても今迄の只管楽しい面白い、そういったバカ騒ぎが終わり何か得も言われぬ寂寞感が漂ってた気がする。
そんな時に入って来たのがレオス・カラックス
やデレク・ジャーマン等渋谷アップリンクやシネマライズが配給するアート系の映画、特にウォン・カーウァイはお洒落なものを好むお姉さん達やそれ迄あんまり映画とか見ない層をミニシアターに呼び込み圧倒的な支持を受けてた様に記憶してる。
エヴァ劇場版の最初の完結もこの頃。
公開25周年レストアで25年ぶりに鑑賞。
ドキュメンタリー『摂氏零度』も併せて鑑賞。
本編からバッサリカットされた女医のエピソードと台北からの旅行者の若者チャンのエピソードは撮影が押してレスリー・チャンが香港でのコンサートの為に帰っちゃったから急遽撮られたってウォン・カーウァイの映画作りのこのライブ感というかいい加減さというか、其れもカーウァイ作品の魅力と言えばそうなんだらうけど。
ゲイカップルのイチャイチャと痴話喧嘩をずーっと見せられてもしょうが無いっちゃしょうが無いですが途中で本当に急にレスリー・チャンが消えてチャンとの交流がメインになる。
結局そのままラスト迄行くし。
でもこのチャンの話しがなかったらどうにもならなかった。
落とし所がないというか。
台本もなしに行き当たりばったりでこんな映画撮れちゃうウォン・カーウァイはやっぱり凄いんだと思う。
未だインターネットも普及してない時代に旅先で異邦人同士が出逢って別れて、また会おうってその「意思」みたいな物が人と人とを繋いでるってチャンとの話しがすごくよかった。
ラストに流れる『ハッピートゥギャザー』も。
なのでこの時点でレスリー・チャンとの事はスッカリ忘れてる感じも。
やっぱり撮影監督クリストファー・ドイルの映像によるものも大きくて、ホテルの窓の外の壁の光が当たって淡いブルーになってる映像とか何でこんな映像が撮れるんだろうと素人ながら思いますがニコラス・ローグとかも矢張り其れが映像の人たる所以だろうし、本当にモノクロからカラーに移行してからがこの映画の本番みたいな処もあるし、アルゼンチンなのにブレードランナーの世界みたいなこの映画の中にしかない「何処でもない場所」に見える。
自分の90年代と言えばリブロ文化華やかりし頃の池袋だけど渋谷は映画見に時々行ったくらい。
『エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを君に』が97年7月で『ブエノスアイレス』の公開が9月(Wiki調べ)エヴァ劇場版は何故か必ず東急文化会館で見てカラックスやウォン・カーウァイ作品をシネマライズで見てデレク・ジャーマンその他のアート系作品を渋谷アップリンクで見てって、思えばもう全部渋谷から無くなってる(アニメイトの上にあったユーロスペースのみ移転してかろうじて存在してるが跡地に出来たホラー・カルト系マニアック・シアターのシアターNももうない)
深夜アニメやOVAの隆盛もこの頃で『セイバーマリオネット』等の90年代アニメやWKW4K祭り等を見ながら自分が若かった事もあるけど90年代はいい時代だったな~(*゚-゚)と、そんな事を懐かしく思い出したのでした。
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