suzu

ブエノスアイレス 4Kレストア版のsuzuのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

かなり好きだった〜〜ロードムービーなのかと思ったら全然違ったが、行ったことない土地の人々の、別の未踏の土地での生活は旅情を掻き立てられててめちゃくちゃ良かった
レスリー・チャンは『覇王別姫』のときの優美で品のある身のこなしと全く正反対の振る舞いを見せてくれ、なのにもかかわらず繊細で情緒的な美しさは変わらず通底しておりクィアアイコンのレジェンドとして降臨し続ける理由がよく分かった
同性愛者役に躊躇いを示していたと思えないトニー・レオンのすばらしい演技も天晴れだったし、刷り込むようにかかるHappy togetherの曲や台詞のない特定の情景を映し続けるシーンなど演出面でもめちゃくちゃ美しくてずっと観ていたかった〜
話は精神的に不安定なふたりのキャラクターを中心に描かれるので遅々として進まない感もあるが、夢中すぎる恋の危険さを思い出し懐かしく観た 脳のキャパを一定程度その相手に割き続けてしまうのよね、思い通りにならない相手は大変 『花様年華』とは一転変わった衝動的なふたりだが、背後にある恋愛をめぐる哲学には一貫性があってよい 最後の「会いたいと思えば…」というシーンの意味は咀嚼できずに考えあぐねている

好きだし自分のアイデンティティに関わるのでたくさんクィア作品を観てきたが、今回インティマシーシーンを観ながら特に同性同士だな〜など何も思わず「自然な」ものとして受け止めている自分に気づき、やっと自分の中のホモフォビアの一端が消えた気がしてうれしかった
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