BOB

ブエノスアイレス 4Kレストア版のBOBのレビュー・感想・評価

3.5
ウォン・カーウァイ監督がカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、レスリー・チャン&トニー・レオン主演の恋愛ドラマ。

「やり直そう。」

約1年前に途中離脱して以来の再挑戦。

地球の裏側ブエノスアイレスを舞台に、惹かれ合いながらも傷つけ合う香港人ゲイカップルの愛と苦悩の退廃的ラブ・ストーリー、、、、ではあるのだが、自分が面白いと感じたのはそちらではなく、フェイを主人公とする"貧乏男のひとり海外放浪記 inブエノスアイレス"的な旅人ドラマの方。旅人心をくすぐる要素がいくつもあった。

まず何より、WKW監督の切り取るブエノスアイレスが刺激的。空、街並み、人々、空気感、飯など、何気ない日常風景がどれも魅力的に映った。また、トニー・レオンのカリスマ性も相まって、言葉の通じない異国の地で、職を転々としながら帰国資金稼ぎに励むファイの姿には感情移入できた。旅人仲間であり、バイト仲間でもあるフェイとチャンの心の交流も味わい深かった。感情的で破滅的なウィンとの恋愛関係とは対照的である。「もし会おうとおもえば、どこでだって会うことが出来る」という締めの台詞が素敵だ。"Happy Together"♪!

レスリー・チャンが自己中かつ自堕落な男、トニー・レオンが孤独で勤勉な男を熱演。冒頭の2人の生々しいセックスシーンには驚いた。パスポートは返さずじまいなのだろうか。

餃子に炒飯に卵スープ。トニー・レオンの作る男中華メシがどれも美味そう。

部屋に置かれているレトロな小型テレビが可愛い。

・1997年の香港返還により香港での映画製作が困難になったWKW監督は、活動の場を海外に移すことを決断。スペイン語圏で制作されることを条件に、スペインから制作資金を獲得。アルゼンチン人小説家マヌエル・プイグから多大なインスピレーションを得たので、アルゼンチンを選択。

159
BOB

BOB