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花様年華 4Kレストア版のBOBのレビュー・感想・評価

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)
4.2
ウォン・カーウァイ監督 "60年代三部作"の第2作。

「あの当時は本当に楽しかった。」

約3年ぶり2度目の鑑賞は4K版で。

大人の男女のプラトニックな恋愛映画。美しくて、官能的で、エレガントで、ノスタルジックで、切なくて。深く深く感動した。初見時よりかなり理解が深まり、マイオールタイムベスト恋愛映画の1つになった。

お互いに深く愛し合っているが、ただただ非常に慎み深いため、相手の心中を推し量るだけで、直接言葉で確認しようとはせず、すれ違い続ける。その一部始終を見る。もどかしく、苦しく、悲しく、腹立たしさすら覚えるのだが、これは運命だったのだ、初めから叶わぬ恋だったのだと受け入れるしかない。

実際に交わされることがなかった、「僕だ、切符がもう一枚取れたら、僕と来ないか」「私よ、切符がもう一枚取れたら、連れてって」の心の会話が、どうしようもなく切ない。

誰にも言えない秘密はカンボジアの遺跡に永遠に封じ込めたはずだったが、、あの女性の影を完全に忘れ去ることはできず、続編『2046』へと続いていく。

トニー・レオンとマギー・チャンの匂い立つような色気が凄い。トニー・レオンの吸い込まれそうになるほど魅力的な目と、毎シーン衣装が替わるマギー・チャンのチャイナドレス姿に心奪われる。マギー・チャンのすーっと流す涙も美しかった。

"人生で最も美しい時間"を意味する『花様年華』。夢の中に迷い込んでしまったかのような世界観に酔い痴れる。カメラワーク、構図、カット割り、色、音楽。どれも素晴らしい。
・時間経過が曖昧。何度も時計が映されるがデタラメ。
・夢二のテーマ♪と"Quizás Quizás Quizás"♪が醸し出す甘美なムード。
・"速くて遅い"スローモーション。
・愛🔴のイメージ。
・幅は狭いが、奥には長くて深い、閉塞感のある構図の多用。

お互いのパートナーが不倫関係にあることへの疑惑を話し合うシーンのクイックパン。ここから二人の関係が親密になっていく。

メイド・イン・ジャパンの炊飯器は大好評なんですね〜〜。

「女は顔を伏せ、近づく機会を男に与えるが、男には勇気がなく女は去る。」

「時は移ろい、あの頃の名残りは何もなかった」

「男は過ぎ去った年月を思い起こす。埃で汚れたガラス越しに見るかのように。過去は見えるだけで触れることはできず、見える物は全て幻のようにぼんやりと、、、」

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