がぶりえる

花様年華 4Kレストア版のがぶりえるのレビュー・感想・評価

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)
4.6
色気。

直接的な描写はほとんどないのに溢れ出る熟された色気が凄い。結婚し、定職に着いて、日々家業と仕事をこなす毎日を送る生真面目な2人の静かながらお互いを深く想い合う大人の恋心が心地よくもあり苦しくもある。互いに一線を超えることを許されない夫婦という立場にあるからこそ、近付きたいけど近付き過ぎれないというもどかしさ。
最初はトニー・レオンの方が積極的に見えるけど、ごっこ遊びの最中にトニー・レオンの肩の上で思わず泣いてしまうマギー・チャンをみて、彼女も彼と同じくらい深く想ってたんだなぁ、って気付いて胸がギュ~となる。たまんねぇ。良いよなぁ、ずっと観てられる。たまんねぇよな〜。

「行くのか?行かないのか?」って焦らしまくって、でも直接的な行動はせずに、間接的なサインを送り合うだけ、みたいなのがthe大人の恋愛で最高にエロティック。ウォン・カーウァイはこういう大人の恋愛にも長けてるのか。レストランのソースつける下りのとことか凄くちょうど良い焦らしで本当に巧い。センスある言い回しとか擬態比喩を使った遠回しな表現で密かに愛情を示すの洒落てて、ムーディーでカッコいい。

ウォン・カーウァイはやっぱりセンスの人。この人の画の切り抜き方、音の入れ方、スローの使い方には舌を巻く。強烈にオリジナルで、かつ凄く演出力がある。また1人お気に入り監督が増えた。