YLxx

2046 4Kレストア版のYLxxのレビュー・感想・評価

2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)
4.3
キムタクが出ている割には他作品に比べ日本での評価が低いと感じる今作、その理由は下に詳しく書いているがキムタク×香港の巨匠だけに引っ張られて見てしまうとかなり痛い目に合うためであると推測する。

王家衛の集大成そしてベストアルバム的仕上がりを完全に見せている為、先に言っておくと欲望の翼、恋する惑星、天使の涙、ブエノスアイレス、花様年華、若き仕立屋の恋を全て見た人には「2046」は見なければ損とまで言い切れる作品であるが、それ以外の人にはなかなか強くおすすめできない。(ベストアルバムから入る派には逆に良いのかもしれないが)

前述の通り集大成的作品なので既視感をキャラクターや建造物さらには音楽面でも感じることが多く。今までの作品を踏襲、セルフオマージュすることで王家衛が元来持っている哀愁と追憶が色濃く出ており、そのメタファーとして作中劇2046の記憶列車が出現する。未来都市のシーンは攻殻機動隊2.0やアニメメトロポリスを想起させ、また音楽面では当たり前のようにブレードランナーを想起させてくるためTHE王道近未来都市の構築にはテンションが上がる。またこのような性質を持った作品でありながらこの作品自体が引用される側に回っているため、2020年代に見ることでこの作品が持つ記憶というテーマを勝手に巨大にさせることもできる。

WKWレストアパンフに書いてありましたが、「欲望の翼のラストにてトニーレオンが札束やたばこなどをポケットに詰め込みまくるシーンが2046の賭場へ向かうトニーレオンと重なる」と書いており。シーンの意味をキャラクターへ暗に引用していること、更にはレスリー・チャンが公開前に亡くなっていることも相まってあのシーンが好きすぎる私はぶち上る。あとお気に入りなのは映画お約束のタクシーシーン。恐らく何かのオマージュなのだろうが車内からの2人と1人そして外からの2人を意識的に見せる。さらにこのタクシーシーンで絡む手を筆頭に部屋を開ける手やプレゼントを渡す手等若き仕立屋の恋からのエロティシズム感じる。


レストア版で花様年華だけみれていないのでこれを機に劇場観に行こうかな。