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クラークスの一人旅のレビュー・感想・評価

クラークス(1994年製作の映画)
5.0
ケヴィン・スミス監督作。

とあるコンビニエンスストアで働く青年の不運な一日を追ったコメディ。

アメコミオタクで知られるケヴィン・スミス監督による低予算オタク映画の怪作。アメコミの世界をクロスオーバーさせたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)やDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)のように、ケヴィン・スミスも“ヴュー・アスキューニバース”という独自の映画シリーズを展開しており、本作に登場するキャラクターがシリーズの別作品でも顔を見せるなど、同一の世界観が構築されている。本作はその記念すべき第一弾(第二弾『モール・ラッツ』、第三弾『チェイシング・エイミー』)。ちなみに、1994年にケヴィン・スミスが設立したView Askew Productionsという製作会社がシリーズ名の由来。

本作は上映時間90分程度のモノクロ映画。朝から休日返上で仕事に駆り出されたコンビニ店員ダンテ・ヒックスに数々の災難が降りかかる...という“コンビニバイトくんの不運な一日”を描いた作品で、
・嫌煙家にタバコ販売を追及される
・隣のレンタルビデオ屋店員に接客の邪魔をされる
・商品の卵を熱心に吟味する珍客に遭遇する
・トイレを借りにきた客にエロ本&上質なトイレットペーパーを貸し出すハメになる
など、たった一日の間に起こる数々のトラブル(※上記はごく一部)を、その舞台を狭いコンビニの店内(+α)に限定して映し出す。

何がおもしろいって、登場人物たちの会話センスが最高! 隣のレンタルビデオ屋を抜け出した店員がなぜかコンビニで一日中たむろするのだが、コンビニ店員&ビデオ屋店員のたあいもない会話が妙に可笑しくて癖になる。エロ話、恋愛話、エロ話、映画話、エロ話、エロ話…。ビデオ屋店員は異常にやる気のない男で、接客の“せ”の字も知らない奴。横でコンビニ店員が真面目に接客してるのに、そんなことお構いなしにお下劣トークをぶちかますし、客にオススメの映画を尋ねられた時も「そんなもん知らん」の一点張りで相手にしない。「別のビデオ屋で借りたいから車を貸してくれ!」には壮絶笑った。自分が働くお店くらい愛してやれよ、バイトくん!

センスの塊のような映画。冒頭の暇そうにあくびするワンコがいい味出してるし、出だしの音楽も震えるほどかっこいい。こんなにワクワクな日常映画はなかなか出会えませんよ!
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