まーしー

スマホを落としただけなのにのまーしーのレビュー・感想・評価

3.5
OLがスマホを落としたことから日常が激変するスリラー映画。邦画の韓国版リメイク作品。

今や多くの人が肌身離さず持ち歩いているスマホ。
生活に不可欠な存在であり、個人情報の宝庫でもある。
本作は、そのスマホを失った時、悪用された時の恐ろしさを描いている。
個人的な嗜好や交友関係も露見し、SNSに偽情報を投稿される始末。いくらアカウントの乗っ取りを主張しても、周囲の人は信じない。まさに、アメリカの投資家バフェットの「信頼を得るのは20年。信頼を失うのは5分」という名言を思い出させる展開。
これまで築いてきた人間関係が、いとも簡単に崩れ去っていく——。

悲運に見舞われるOLのストーリーに加え、失踪した息子を持つ刑事のストーリーも同時並行的に描かれている。
この2つのストーリーがどう交わっていくのか——観ていて違和感がないところに、脚本の上手さを感じた。

サイコパスの登場に唐突感のあった日本版と比べ、序盤から犯人の不気味さを描いた本作は、よりリアリティに富んでいる。
さらに、犯人の生育歴にも触れているところが、物語に厚みをもたらしているように思う。
ウィズコロナを意識した舞台設定など、徹底したリアリズムの追求が伺える。

電話もSNSも検索も支払いも全て行えるスマホは、もはや個人の生き写しと言っても過言ではない。
もしスマホが誰かに悪用されたら……それは自分を乗っ取られたことに等しいのだろう。改めて、利便性と危険性のトレード・オフを痛感した。