木蘭

シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけの木蘭のレビュー・感想・評価

4.5
 相変わらずネオン強めで濃ゆいオープニングから下ネタ満載でハチャメチャなフレンチ・コメディだけど、出演者が芸達者だし、要所要所で大切なメッセージをきちんと発しているので破綻せず、むしろハッとさせられ胸を打つ。
 物語全体は荒唐無稽なんだが、一つ一つのエピソードや台詞がとても丁寧にリアリティを持って作られているので、最終的に落涙してしまうんだな。

 前作が何も知らない主人公を通してセクシャルマイノリティの実像を見せようという作りだったのに対して、今作はLGBTQ+の人だって十人十色で、それぞれが違う悩みを抱えているんだよ・・・という、より進化した見せ方をしているのに加えて、個人では無く社会との軋轢の部分を描いている。

 社会体制がホモフォビアの国を代表してロシアを舞台にしているのだが(撮影はウクライナ)、ロシアの描き方は賛否あるとしても、一つ一つのエピソード自体は荒唐無稽では無いんだよな・・・そしてそれは、ロシアだけで行われている事案じゃない。
 気になったのは、ロシア語に対する日本語字幕が余り正確では無い気がする上に、何故か字幕では「ロシア」の名前が出ない。台詞では言っているのに。

 前作は様々な困難もシュリンプスの前向きな気持ちで乗り越えていく展開だったけど、今回はそれだけじゃ辛い現実は乗り越えられないよね・・・という物語ながら、絶望の中に希望を見いだす今作の方が、僕は好きかな。
 コロナ禍で出来なかった日本でのロケが実現してたらなぁ・・・と思わせるエンディングでしたぞ。
木蘭

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