青空ゆき

シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけの青空ゆきのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

シャイニー・シュリンプス(お祭り騒ぎが大好きなエビたち)、それは実在するゲイの水球チームの名前。

歌に踊り、パフォーマンスが大好きな愉快な奴ら!

今回シャイニー・シュリンプスが目指すのはなんと日本。

世界最大のゲイの祭典・東京ゲイゲームズの舞台に立つため、フランスから飛び出す!

経費節約のために直行便ではなく、他国を乗り継ぐルートを選んだのと、“オッサン”(笑)じゃなくて元オリンピアンのジョエルに計画のすべてを任せたのが運の尽き。

乗り継ぎ失敗、その夜からはじまる悪夢、より一層深まる絆、そして成長…。

前作を観たのが約二年前。

MOVIXさいたまの早朝8時30スタートとかで観た記憶が。

それがめちゃくちゃ面白くて、泣けて!

2となる本作も面白くてラストは泣けるけど、前作とは少しタッチが違う。

前作は元フランス代表銀メダリストで現コーチのマチアスがゲイに対する差別的な発言の罰としてシャイニー・シュリンプスのコーチに左遷、そこで知り合ったメンバーと触れて、自分の過ちに気づき、メンバーと共に成長していく物語。

それぞれのプライベートな悩み、葛藤など“個”を色濃く描いた作品だったが、“世界に羽ばたけ”はLGBTQの人々に対する迫害、弾圧、映画“チェチェンへようこそ”でそのリアルな現状が世界に知れ渡った“ロシアでの暴挙”に踏み込んだ内容になっている。

〓水球とは?
水中でボールを投げ、点を競い合う“水中のハンドボール”といわれるスポーツ。

“世界に羽ばたけ”では試合のシーンはなく、完全にヒューマンストーリー、そしてロシアで実際に行われているLGBTQの人々への迫害、弾圧への痛烈な批判、声を上げた作品として仕上がっている。

※人間関係など前作を観てないと少し分かりづらい作品かもです(シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たちを観てからの鑑賞を推奨)

監督・脚本→セドリック・ル・ギャロ、マキシム・ゴヴァール。
脚本担当→ロマン・ショエ。

〓以下、完全ネタバレ。

“東京ゲイゲームズへようこそ”

“ブリアナ・ギガンテ”のMC、そしてシャイニー・シュリンプスのパフォーマンスからはじまる本作。

“ジョエル(ローランド・メノウ)”はクロアチアの大富豪でパートナーの“ブラム (ブノワ・マレシャル)”の運転手付きの高級車で空港に向かっている。

眼鏡がトレードマークのジョエルは左派(リベラル、革命的思想)でシャイニー・シュリンプスの壁、キーパーだ。

ジョエルは東京行きをためらうが、ブラムは“君がいないとシャイニー・シュリンプスは駄目だ”と“ロレックスのデイトナ”をサプライズ、ジョエルの背中を押す。

“コンニチハ!”

空港には“フレッド(ロマン・ブロー)”はじめシャイニー・シュリンプスのメンバーが。

“やあボーイズ”

フレッドは“アレックス(デイヴィッド・バイオット)”のボーイズという言葉に不満げ。

フレッドは紅一点、シャイニー・シュリンプスのメンバーのなかで唯一の女性なのだ(日本の造語でいえばニューハーフ)

遅れてきたアレックスは直行便でないことに不満を漏らす。

“お客様のステータスは上級ランク(プラチナ)です、ファーストクラスへどうぞ”

飛行機の搭乗口でジョエルの豪遊がフレッドにバレる。

フレッドはジョエルのチケットを奪いファーストクラスへ、他のメンバーはエコノミー…。

チームで一番背の低い“ダミアン(ロマン・ランクリー)”が一生懸命荷物を座席上の棚に。

今回の旅には新たなメンバーが。

コーチの“マチアス(ニコラ・ゴブ)”は“助っ人”の“セリーム(ビラル・エル・アトレビー)”を紹介する。

“どうも〜♡”

シュリンプスの仲間たちに驚くセリーム。

“エビ?”

シャイニーはお祭りっぽいから。

セリームはマチアスに激怒!

“シャイニー・シュリンプスのメンバーは全員ゲイ”、それをマチアスはセリームに伝えてなかったのだ。

飛行機から降りようとするセリームにこれはプロ、フランス代表になるきっかけ、チャンスだとマチアスは引き止める。

“なんで俺を誘った?”

マチアスは言葉に詰まる。

“地元の連中に見られたら困る”

そういうセリームに地球の裏側だから大丈夫だとマチアスは嘘をつく。

“水球っぽい体は黒人だけ!”

マチアスはセリームにピンクの髪がトレードマークの“グザヴィエ(ジェフリー・クエット)”を“水中のネイマール”、ダミアンを“豆タンク”、“水球界のアシカ”と紹介。

“オッサンは?”

あだ名はないが経験豊富なオリンピック経験者だ…ジョエルは25年前のシドニーを経験している、ただのオッサンじゃない!(笑)

タフなメンバーだ。

“カマ掘るぞ!”

“クソったれが”

セリームをなんとか席に座らせたマチアスは娘の“ヴィクトワール”に慌てて電話。

“彼はゲイだよな?”

性指向で悩んでるから新しい世界を見せてやって、そうヴィクトワールから聞いたからマチアスはセリームをチームに誘った。

ヴィクトワールの答えは

“そう思う”

ただの勘…確証はない。

もう引き返せない。

広々としたファーストクラスで一人くつろぐフレッドは高校時代の同級生にバッタリ、なんだか気まずい空気に。

マチアスはシャイニー・シュリンプスのメンバーに新しいメンバーがゲイじゃなかったら、分からない場合はゲイかどうか聞くかと質問。

メンバーは“予防”、“防衛”のために新しいメンバーはゲイじゃないと駄目だ。

聞くのは不作法、失礼だから“ゲイダー”で判別するという。

そういわれても“そこまで”じゃないマチアスにはセリームがゲイかどうかは分からない…。

アレックスは試合中に亡くなった大好きな“ジャン(アルバン・ルノワール)”のことが忘れられないでいる。

ジャンの影がちらつく…寂しさ、苦しみを紛らわすために薬物に手を出していた。

グザヴィエとヴァンサン(フェリックス・マルティネス)は痴話喧嘩。

長めの黒髪と幼い声(グザヴィエからは子供の声と馬鹿にされている)が特徴のヴァンサンはグザヴィエと付き合って5ヶ月、チーム内は恋愛禁止だからと二人の関係を秘密にするグザヴィエが気に入らない。

中継地点のロシアの空港に着いた一行は乗り継ぎを急ぐ。

400ユーロ節約のための30分のリミットに

“殺意を覚える”

アレックスはまた不満を漏らす。

セリームはここでフレッドと初対面、その姿に驚く。

東京行きは“32分後”というジョエルにヴァンサンは“24時間32分後”と指摘。

とんでもない誤差!

“明日だ”

この間違いがとんでもない事態を引き起こすことに…。

凍てつく街、凍った道。

チケットには“NOVONOVKA”とある。

つまりここはロシア最古の都市・ノヴゴロドだ。

ロシア、正式名称は“ロシア連邦”

北の大地に横たわるこの大国は共産主義を経ていまは社会主義国家。

どこか威圧的で暗く、どんよりとしたものがつきまとう国。

一部の権力を握る者たちが国を自分の思うがままに動かしているのは今も昔も変わらない。

メンバーは仕方なくホテルへ、バスのなかで“セドリック(ミカエル・アビブル)”にそっくりな独裁政治家の看板を見たみんなは大騒ぎ!(笑)

ジョエルのデイトナにもみんなの視線が集まる。

当のセドリックはフランスでパートナーのベルトラン(ピエール・サミュエル)とその友人たちとのつまらない“知的なクイズ”、家族サービスにうんざり。

ホテルに着いたシャイニー・シュリンプス一行は従業員や宿泊客から好奇な目で見られる。

“ボリジョイ○○○!”

“食いしん坊だ”

ここは“ゲイ嫌いの国”だから外出禁止。

年長者のジョエルはホテルでじっとしてるようメンバーに釘をさすが、グザヴィエは“チェチェンじゃない”と軽く流す。

弱虫、世直しの旅じゃない。

娘から本当のことは先延ばしにせず、今すぐいうべきだと忠告されたマチアスはセリームに会いに部屋へ。

誰もいない部屋、マチアスは悪いと思いながらも我慢できずにセリームのカバンからタブレットを…男性同士のポルノ動画。

“よし、やった!”

悪事の現場をヴァンサンに目撃され気まずいマチアス。

みんなは練習のためにホテルのプールにいた。

“大事なのはコレ(振付)よ”

シャイニー・シュリンプスの次の舞台は世界最大の同性愛者の祭典“東京ゲイゲームズ”

その模様は70ヶ国以上で放送される…。

嘘はやっぱりバレる。

セリームの怒りは頂点に、他のメンバーもマチアスを責める。

セリームは隠してるがゲイだ、娘のなかの第六感“ゲイダー”がそれを察知した。

奴がチームに入れば勝てると思った…ジャンのためだ。

ホテルのバーでジョエルは学生運動、自分の若い頃の話を。

“きっかけは突然訪れるもの”

セリームはフランスに帰りたいがチケットを買うお金がない。

家族に電話するが…本当のことは話せない。

アレックスはまた、ジャンが溺れる夢を見る。

薬に依存するアレックス。

同室になったグザヴィエとダミアンは現地のテレビを見ている。

テレビには友人であり家族のセドリックそっくりの政治家“セドリッコフスキー”が。

“我が国に同性愛者はいません。
西側(フランス)のような男同士の結婚を国民は望んでいない。
同性愛は病気です、治療せねば”

どこかで聞いたセリフ…。

“ダイソンがいい”

二人は笑い飛ばすが…。

ダミアンのスマホに着信、挙動不審なダミアン。

それはダミアンのパートナー、“アリス”からの電話。

ヴァンサンは二人の会話を偶然聞いてしまう。

ダミアンには女性のパートナーがいた。

ダミアンの初体験の相手はアリス、みんなとの絆を壊したくない、ダミアンは15年間メンバーに嘘をついていたのだ。

“またメンバーの嘘、秘密だ…”

アレックスはマッチングアプリで知り合った男性に会いに。

上着をもったダミアンを見て

“君も?”

一緒に行こうと外に連れ出す。

ダミアンは嘘を隠すためにこのあと、とんでもない目に…。

“見守るのよ”

“ほうっておけない”

ジョエルとマチアスの目を盗みホテルの外に出た二人。

街のなかは“セドリッコフスキー”のポスターだらけだ。

フレッドも“人生を楽しむ”といって外出、マチアスとジョエルは止めるが“女は問題ない”とフレッドは聞かない。

フレッドが心配なマチアスとジョエルは仕方なくついていくことに。

“奴ら”を警戒するジョエル。

外は北極のような寒さだ。

“トラベルゲイで四つ星”

薄暗い地下に屈強な男が二人…その先には“LGBTQ”の人々が集まる“クラブ”が広がっていた。

二人の屈強な男はセキュリティ。

ダミアンがみんなと知り合えたのはジャンがみんなに紹介してくれたからだ。

ダミアンはアレックスに自分には大切な人(彼女)がいる、本当のことを話そうとするが…。

“人生は続く、くじけちゃ駄目だ”

二人はマンションの一室へ、そこにいたのは一人ではなく、複数の強そうな男たち。

軍人のような男の姿も…。

マチアスは楽しそうに踊るフレッドに見とれる。

“LGBTには最高の店だ”

そういうマチアスにジョエルは古い、いまは

“LGBTQQAAIP+”

ひとことに“性の多様性”といっても複雑、マチアスはついていけない。

マチアスたちはクラブで働くフランス語が堪能な“パンセクシャル”の女性と知り合う。

アレックスとダミアンを待っていた男たちは“ゲイ嫌い”、“ゲイハンター”の集団だった。

二人は“ゲイ狩り”の罠にかかったのだ。

“やられる!”

ダミアンのスマホに通知、表示されたアリスの写真を見た周囲は混乱する。

“なぜゲイアプリを?”

アレックスにダミアンの秘密がバレる。

ダミアンはピンチを切り抜けるために嘘をつく。

フランスはゲイを守る国だからゲイ狩りができない、だから自分たちはゲイ狩りのためにロシアに来た。

強くてセクシーなアレックスは餌であり用心棒だ…。

うまく騙せた、逃げ出せそうだ!

“待て、いい場所がある。
一緒に狩ろう!”

フレッドは東京のあとは“LA”に行き“女”になるという。

マチアスはフレッドに優しい言葉をかけるが、行動にはできない。

フレッドは“パンセクシャルの彼女”に八つ当たり。

トイレに行ったジョエルはこの国のゲイのリアルを見る。

殺された人々の写真…“次は誰だ?”、鏡に映る自分の姿…。

ヴァンサンとグザヴィエはホテルのベッドの上でまた痴話喧嘩、理由は同じ。

そこにマチアスを探すセリームがやってくる。

警察に通報してくれ、アレックスからの助けを求める電話。

ベッドの隅に隠れていたグザヴィエの姿に驚くセリーム!

この旅でセリームは驚いてばかりだ(泣)

アレックスたちは黒いバンに乗せられてゲイ狩りへ。

男たちはいう。

昔は“黒人”を狙っていたが、ロシアには“黒人”が少ない、だから“ゲイ”に狙いを変えた。

ロシアには“ポグロム”、“ユダヤ人”への迫害、弾圧の歴史もある。

この国は昔から現代まで、自分たちより少数派な相手に鬱憤、不満、イライラをぶつけてきた。

多数派の自分たちより弱い人間なら誰でもいいのだ。

それは国家が民衆を仕向けたケースもあるだろう。

一部の人間がはじめた“いじめ”が人々に感染していく。

最初は相手になにか憎しみなど感情がある訳ではない。

だが、“いじめ”を続けていくうちに相手のことを本当に憎悪していく。

人間の恐ろしさ、そしてこの国の“いじめ”には当たり前に“殺人”が含まれている。

ヴァンサン、グザヴィエ、二人に挟まれたセリームはアレックスたちを救うべく警察へ。

二人の痴話喧嘩にセリームは

“くだらねえ”

マチアスたちはホテルへ。

ジョエルは泥酔、自分は役立たずだと自分の無力さに嘆き憤る。

フレッドはマチアスを“迷惑な偽善者”と罵る。

マチアスがこのチームから去らないのはジャンへの罪滅ぼしだと…。

“スリーゲイズ!”

ゲイが三人。

“…シャイニー・シュリンプスだ”

黒い悪魔たちが三人に近づく。

ヴァンサンからセリームへ突然の強引なキス、ターゲットは…セリームたちだった。

暴漢たちから必死に走って逃げるセリームたち!

パトロール中の警察に助けを求めたセリームたちはなぜか逮捕、拘束されてしまう。

セリーム、アレックス、ダミアン、グザヴィエ、ヴァンサン。

五人は刑務所のような施設へと移送、極寒のなかホースで冷水を浴びせられる。

マチアスはセドリックに相談、セドリックはベルトラン(大使館で翻訳の仕事をしていたことがある)と共にフランスのロシア大使館へ。

“詳しいことは分かったら知らせる”

二人は曖昧な情報を得ただけに終わる。

“パパだ!”

息子(双子)が間違えるほどセドリックにそっくりなロシアの政治家ヴィロノフ議員。

この男が“同性愛嫌悪”の政策を主導している…。

打開策を見つけられないセドリックとベルトラン、二人は口論になり、本音をぶつけあう。

セドリックはベルトランに君との私生活は退屈で仕方ないといい、ベルトランは違いを叫ぶより、人と同じがいいという。

セドリックはベルトランにいう。

“いまの君があるのは彼らのような人々が声を上げ、同性愛嫌悪と闘ったからだ”

いまの二人があるのは彼らのおかげでもある…。

そんな二人の前に“渋いイケおじ”、ジョエルのいとこを名乗る紳士が現れる。

収監された五人は強制労働、食堂では看守の嫌がらせが。

ヴァンサンに無理を言っていじめる看守にセリームはついに感情を抑えられなくなる。

暴動を止めたのは所長の“イリナ・ヴィロノヴァ”

“僕らは依存症じゃない、施設から開放してくれ”

麻薬は関係ない、ここに入れられたのは道端でキスをしたから。

“同性愛という害悪、病気を治してあげる”

アレックスが所持していたコカインが原因で施設に入れられたと思っていたメンバーは驚く。

マチアスたちは警察署で談判するが、言葉の壁、さらに警察サイドの聞く耳持たずな態度でらちがあかない。

三人はクラブで知り合ったパンセクシャルの彼女に協力を依頼。

“この件は弁護士じゃ駄目”

マッチングアプリでメンバーの居場所を特定、五人はリハビリ施設にいる…。

施設の正体。

そこは性的指向を変える矯正施設。

そこで行われているのは“めっちゃゲイ”な講師による“身体表現”の授業(柔道、レスリング)、イリナ・ヴィロノヴァによる聖書を引用、信仰を利用した洗脳。

また入所者をイスに拘束、男女、男性同士のポルノ動画をランダムに流し、男性同士の動画のときに電流を流す謎の治療。

メンバー以外の他の入所者は自主的に入所、嫌になれば退所は自由だとヴィロノヴァはいう。

“正常、普通がいい”

セリームは他のメンバーと袂を分かつ。

アレックスは薬のせいで仕事をクビになっていた。

コカイン中毒…ジャンが恋しくて仕方ない。

メンバー全員、みんな嫌われるのが怖い。

怖いからみんな嘘をつき、隠し事をする。

嘘や秘密はもう沢山だ。

ヴァンサンはいう。

“君を、僕を、みんなを恥ずかしく思う”

きっとジャンもそう思ってる…。

みんな、眠れぬ夜を過ごす。

マチアスたちはジョエルの“デイトナ”で施設内に“協力者”を作ることに成功。

協力者が五人を開放、脱出ルートを教える。

“あとは必死に走って車が待つポイントまでたどり着け!”

マチアス、ジョエル、フレッドは“ジェームズ・ボンド”ばりのスパイアクションに挑む。

ジョエルらによればジェームズ・ボンドはゲイらしい。

根拠は美形、筋肉、セクシー水着、カクテル、女にすぐ飽きるから。

“お前らにかかると全員ゲイだ。
しまいには俺もゲイか?”

“そうよ”

脱出ポイントの非常口付近でマチアスたちは五人を待つがメンバーは出てこない。

作戦を知らない四人は協力者を襲い、力づくで鍵を奪って逃走していた。

左派で“不屈の反逆者”の革命戦士ジョエルはボート脇で見つけた銃を監視カメラに向けてぶっ放す!

軍では射撃の名手だった、そういうジョエルの腕は確かだ。

マチアスたちはアレックスたちメンバーと合流するがセリームがいない。

異変に気づいた看守は警報を鳴らす、脱走がバレた!

立ちはだかる“ゲイ嫌いのゲイ”にダミアンは股間に銃で一撃、一矢報いる!

セリームはヴィロノヴァの講義を受けていた。

“俺たちが君を守る、力になる。
ここにいちゃ駄目だ”

“人と同じがいい、違いは望んでない、悩みも。
地元ではゲイは地獄を見ている。
罵られ、殴られ、唾を吐かれ。
家族には言えない、きっと分からないし、分かろうともしない”

マチアスが考えていた以上にセリームは深刻に、苦しんでいた。

“行け、行けよ!”

“これは彼が選んだ道だ、行こう”

セリームの強い言葉、ジョエルの彼を尊重しようという言葉。

あきらめたくない、あきらめたくないが…あきらめざるを得ない。

どうしようもない。

警察も動いた、急がねば。

七人は凍った湖の上を走るが、フレッドが割れた湖のなかへ転落。

極寒の湖に飛び込むマチアス、二人を引き揚げようと力を合わせる仲間たち。

命がけで仲間を助けるシュリンプスの姿にセリームもついに心を開く。

空港にはブラムが用意したチャーター機が、ベルトランは相変わらずの減らず口。

メンバーはワゴンで空港の近くへ。

ジョエルはロシアの友人(パンセクシャルの彼女)に一緒に行こうというが

“私の戦場はここ”

仲間との別れ。

“沈黙は死”

目立って騒ぐ、それがシャイニー・シュリンプスの偏見との闘い方。

ブラムたちはメンバーをギリギリまで待つが…。

“これ以上ここにいれば雪で飛べなくなる、離陸だ。
…待て、来た!”

空港にはメンバーと軍警察が同時に到着する。

拘束されそうになるシュリンプスのメンバー。

セドリックとベルトランは“家族”を助けるために一計を案じる。

セドリックの“度胸”と“ロシア顔”、ベルトランの“奇策”でピンチは切り抜けたかに見えた…が。

ベルトランの軽口でまたピンチに!

“ようこそシュリンプス・ファッキン航空へ!”

一層絆を深めたシャイニー・シュリンプスは無事、東京に到着、東京ゲイゲームズへ。

“私はクイーンになる、そして、あなたたちはキングになる。
…ヒーローになれる”

シャイニー・シュリンプスの歌声は世界に響く。

家族のもとに、ロシアでいまも闘っている仲間のもとに届く。

ジャンも一緒だ、みんなの心に生き続ける不滅の仲間。

“僕は…僕はキングになる。
そして、君たちもキングになる”

みんなヒーローになれる…。

セリームは仲間たちのおかげで自分を見つけることができた。

時間はかかるかも知れないが、家族もきっと分かってくれる。

一人の青年の勇気で施設にいる入所者たちにもシュリンプスたち、仲間たちの声が届く。

ラストの青年の笑顔。

それは希望と、ロシアで暮らすLGBTQの人々たちの救いを求める声だ。



EDは日本のアーティスト・ビッケブランカのChanges。

メンバーが施設で仲良くなる青年とラストに出てくる軍曹は他の作品でも観たことある気がするんだよな…名前や作品が出てこない(汗)

今回のシャイニー・シュリンプスは前作と変わらぬ笑い、希望のなかにゲイの人たちが抱える苦しみ、問題をストレートに交えて描いた告発的な一面をもった作品だ。

みんな本当は自分らしく生きたいと思っている。

だが、周りがそれを許さない。

シュリンプスのメンバーのように悩みや苦しみと闘いながら自分の生き方を貫ける人もいるが、セリームのように自分を押し殺そうとする人もいる。

LGBTQに対する考え方が先進的なフランスでもそうなのだからロシアのような保守的な国だと絶望的。

ヴィロノヴァは施設の入所者は自分の意思でここにいるという。

たとえそれが本当だとしても、入所者は心からゲイをやめたくて施設にいる訳ではないと思う。

本当は自分らしく生きたい、だが、ロシアでは同性愛者は一歩間違えば殺されてしまう。

彼らは生きていくために、生き抜くために施設に入ったのだ。

セドリッコフスキーがTVでゲイを放置すればそのうち親兄弟、果ては羊や掃除機と寝るようになるという。

グザヴィエはダイソンがいいと笑い飛ばすが、現地の人たちにとってはこの状況は生きるか死ぬかの瀬戸際。

待ったなしの状況なのだ。

自然の摂理に反する、同性愛では家庭は築けない、子供ができない。

当人たちからしたら余計なお世話だ。

セドリックとベルトランはゲイ同士で結婚して双子の息子を育ててるし。

現代、過去問わず、ロシアでの特定の人々への弾圧、迫害の風潮は“プロパガンダ(国、権力者が仕向けること)”によるものもあるだろう。

ロシアを構成する国のひとつ“チェチェン共和国”のLGBTQの人々への弾圧、迫害は国が主導。

イスラムなど信仰を利用し、情報を流してチェチェンに暮らしている人々の考え方を同性愛嫌悪に向けたプロパガンダだというのが通説。

ウクライナを“ネオナチス”と呼び侵攻しているのもプロパガンダ。

ロシアは昔からそういう国なのだ。

首謀者がまいた種が芽をだし、悪の花を咲かせ、またその花が種をまく。

まさに負の連鎖、恐ろしい構図。

世の中には自分にとって都合のいいところだけを切りとったような情報が溢れている。

情報化社会で簡単に様々な情報を一瞬で得ることができる現代、プロパガンダに騙されにくくもなったし、騙されやすくなったともいえる。

プライベートなどもそうだが、一方からの見方だけでなく、正しい情報、間違った情報、悪意が込められた情報を取捨選択することが大事。

踊らされて加害者になってはいけない。

LGBTQの人々への迫害や弾圧、その他すべての理不尽がなくなることを切に願う。

それには世界に羽ばたけのラストでシュリンプスが歌う

“一日でいい、一人ひとりがヒーローになること”

小さな積み重ねがきっと、大きな力になるに違いない。

※Twitterもよろしくお願いします!→@Blueeternal2022
青空ゆき

青空ゆき