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長ぐつをはいたネコと9つの命のGamのレビュー・感想・評価

4.0
朝8時の映画館には「大きなお友だち」しかいませんでした。むしろ大きすぎる。評論家風の初老男女が、みんなで集まってネコちゃんアニメを眺める。平和ですよね。

『シュレック』シリーズ、前作『長ぐつをはいたネコ』どれも未鑑賞だったけど、ぜんぜん問題ナシ。

大絶賛の通り、作画と演出。革命的な気持ちよさだった。キャラクターや自然風景、建築物は写実的(いわゆる3DCGアニメ的)なのに対し、アクションシーンでのエフェクトやコマ割りが非常にコミカル。絵本や童話に近い"優しさ"を帯びている。そんな空気でありながら、戦闘スピードはハイテンポ。日本アニメ的な緩急を感じた。といった要素が凝縮されて、秒速で映像になって飛び込んでくるのが、本当に気持ちいい。「やっぱり俺アニメ好きだなあ」と思いました。(なんていうか全体的に『スパイダーバース』に近い気持ちよさだった)

ちなみに死神ウルフは、黒澤明『用心棒』の三船敏郎をレファレンスしているらしい。ゆったりと殺意を帯びているエネルギー感は、確かに似ている。武士道を重んじる侍と、死生観で他人を裁く死神というのも似ている。哲学的に戦うキャラクター。

ストーリーは優しく普遍的がゆえに、子どもから大人まで受け止められていい。大人を「大きなお友だち」として迎えてくれる映画が、僕は大好きです。
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