叡福寺清子

赤い糸 輪廻のひみつ/月老 また会う日までの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

4.7
台湾映画界が本気になってホラーを製作した解答が『哭悲』だとしたら,台湾映画界が本気になってラブストーリーを製作した解答が本作なんでしょうか.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.

台湾仏教ベースに,日本のサブカルに多大な影響を受けた珠玉のラブストーリーって何言ってんだと思うでしょ.でもその通りだからしょうがないんだなぁ,これが.
本作設定では,新人死者はまず,受付で数珠を手首に実装されます.これが生前行動のバロメーター.珠は二色.白は善行を,黒は悪行を表します.白珠が多いほど進化した生物に転生,例えば白珠が5個なら蝸牛.6個ならゴキに転生.なんか納得できませんがそういう仕組み.黒珠優勢でも,月老になって運命の赤い糸で縁を造り,幸せに貢献することで白に変色.ただし月老資格試験に落第したら強制転生な!

予告だと月老ペアが困難乗り越えて結ばれる風な物語を連想しますが,本作はそんな甘いもんじゃございません.犬っころの辺りでもヤヴァかったのに,その後の鬼展開に目が華厳の滝状態ですよ,こちとら.ここで泣かない人はどうかしてます.もしくはいまだかつて人を好きになったことがないか,近しい人を亡くしていないから,その感情すら持ち合わせていない,ある意味幸せな人なんでしょう.その後も何度も押し寄せる落涙の嵐.今年一番泣いたかもしれません.まだ1月2日ですけどね.

ユーモアの方も怠りなく,生前彼ピだったクズ男とスクーター(より正確には排気口.クズ彼ピは如意棒を突っ込みます)を,赤い糸で結びつけてカップリングしたり(当然珠は黒くなりましたが),途中黒髪長髪の女性と白塗り猫の鳴き声男児(名前は十中八九俊雄な)で笑いを誘います.で油断してたら,またまた落涙のウェイブがやってきて,オヂサンを殺す気かぁ!!

なんというか台湾映画界隈のクオリティって一体どうなってんのかしら.さすが冥婚の国であります・・・ってそこは関係ない?じゃぁ台湾ラーメン・・・あれも日本発祥?台湾なのに??つまりそれだけ日台の関係性が濃厚って事ですね.いいことです.