コマミー

マルセル 靴をはいた小さな貝のコマミーのレビュー・感想・評価

4.2
【一歩踏み出す貝の子】



※fans voice様のオンライン試写会での鑑賞






ずーと待っていた本作を、いち早く鑑賞させていただいた。
監督である"ディーン・フライシャー・キャンプ"は、妻である女優"ジェニー・スレイト"と共に、わずか二日間で、本作の元となった"短編作品"を完成させてYouTubeで5000万再生という注目を集めた。そしてこの長編は7年もの歳月をかけて制作された。
ジェニー・スレイトが短編と同じく"マルセル"役を。そして「ブルー・ベルベット」などのイタリア出身の大女優"イザベラ・ロッセリーニ"が、マルセルの祖母である"コニー"の声を担当している。そして短編同様、カメラマンでマルセルとコニーに家を貸しているの"ディーン"を監督自身が担当している。

ずーと待った甲斐があった。とても優しくて、愛らしくて、"小さいながらも壮大な"物語であった。
マルセルの"家族愛"がとてもよく伝わったし、そんなマルセルの挑戦を後押しするコニーの存在と"語りかける言葉"もとても感動した。マルセル視点で見た"SNSやメディアの力"、そしてそれをひっくるめた"コミュニティーの大切さ"…これは特にマルセルと"同じ境遇"の人ならば尚響くものになるのではないかと感じた。

あとこの作品の"映像と音楽"も非常に大好きなものになった。"自然光"をふんだんに使っていて、本作はファンタジーではないのだが、,ファンタジーの様な幸福感"を味わう事ができ、マルセルの物語に花を添えてくれる。
そして音楽。調べてみたらあの「イット・フォローズ」や「アンダー・ザ・シルバーレイク」の音楽を手がけた"ディザスターピース"ではないか。2つのホラー作品の音楽を手がけた彼の魅力がここでもちゃんと活かされており、場面毎に優しさとチャーミングさがちゃんと分けられてた音楽でとても魅了された。

監督のディーンは、実写版「リロ&スティッチ」監督に抜擢されており、また"A24"配給作品からスターが誕生したのだなと確信した。勿論兼ねてからA24作品の常連である、ディーンの妻のジェニーの今回のマルセル役も素晴らしかったし、これからも2人の活躍が楽しみで仕方がない。

ラストも含めて、マルセルには心から「末永くお幸せに」と伝えたくなるほど、観客も含めてマルセルの大切なコミュニティーであるのだと確信した。

大人のみならず、お子さんにも観てほしい作品だ。
過激なシーンは全然ないので、全ての世代に観てほしい。

極めて、私にとって大切な作品になりました。
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