明石です

アリスの明石ですのレビュー・感想・評価

アリス(1990年製作の映画)
4.2
貞操観念のしっかりした(しすぎた)元尼僧志望の幸薄な中年女性が、怪しい町医者に催眠術をかけられ恋愛に超アグレッシブになってしまう話。ウディ映画ではお決まりのミアファロー主演の不倫ラブコメですが、一癖も二癖もある変わったストーリーで大満足でした。私的ウディ映画のベスト20には入る作品。

持ち前のハーブでどんな病気も治すと噂の中国人の町医者が、実はこっそり催眠術かけて治療しその記憶を(催眠術で)消してるという設定、クリエイティブで面白いなと思った。『スコーピオンの恋まじない』でも似た設定が出てきたけど、ウディ映画は催眠術の使い方にアイデアがあって楽しいですね。

これ、90年代の映画なのか、、ミア・ファローが『ローズマリーの赤ちゃん』の頃から変わらぬ美しさで驚愕。本作のミアは日々の努力でなんとか若さを保とうとしている中年女性という役柄ですが、保ちすぎてて驚いた(姉役のブライス・ダナーの横に並ぶと若さがいっそう際立つ)。もう40代中盤のはずなのに、どう見ても20代後半のルックス。正直、80年代に出てたウディ映画ではもっと老けてた(スミマセン)覚えがありますが、本作は特殊メイクとかで化けてるの?ってレベル。それとも髪型かな。いずれにせよミアは本作やローズマリーのようなボブが凄まじく似合ってると思う。

ミアのお相手役を演じているのは、どう見てもマフィアの殺し屋にしか見えないイタリア系俳優ジョー・マンテーニャ。同じくウディ映画『セレブリティ』でも出てきた人ですが、バリバリのイタリア訛りなのも相まってマフィアが本業なんじゃないか感が拭えない印象。Wikipediaで調べてみるとなんとアル・カポネを輩出した一族と同じ系統らしい笑(もちろん出身はシカゴ)。しかしそのギャップが良いのかもしれない、たぶん。

この映画は音楽がとっても素敵。いつものウディ映画よりもさらに古めのジャスがチョイスされてて、アリスのお洒落な格好や、彼女が颯爽と駆け抜けるニューヨークの街に合っている印象。恋人がサキソフォン奏者という設定も、自身がジャズプレイヤーのウディらしくて粋ですねえ。
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