みつる

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)のみつるのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

シティーハンターという映像作品にとって、素晴らしき楽曲たちは切っても切れない存在である。

その楽曲面に関して言えば、
前作P.Eがあまりにも多くを乱用した分(そして観客たちがそれを望んでいることは明白であるため、それで良かったのである)、
今作はかなり寂しい内容であった。
ここだけでも、どうしても前作と比較するとマイナス点が出てしまう。

物語はついに海原へと迫るが、
「いかに海原の出演に繋げるか」という仕組みとしてしか脚本が機能しておらず、
今回の一連の事件そのものの面白みは皆無であった。

また、演出に関してはうまく言葉で表現できない違和感が強く、
こうなんというか「変な間」みたいな物が常に付きまとう(セリフのテンポ感、BGMやSEのチョイスや差し込み方)。
参加者全員の電波環境が最悪なラグだらけのオンライン会議のようだといえば伝わるだろうか。
一方で場面切り替えはブツ切りされており、
作中で発生する各イベントを、間隔を埋める繋ぎが無くただただ羅列しただけな感じであった。

作画も令和作品としてあまりにも陳腐である。
ここに関しては古き良き…といった様式美めいたものではなく、単純にクオリティが本当に低かったと感じる。
リョウ(漢字変換で出ないためカタカナで失礼)の立ち絵がただ真っ直ぐ水面にスライドして落ちていくだけのシーンは思わず笑ってしまった。

そして、ほぼ全てのキャラの行動に対する原理が全く伝わって来ず「なぜ今それする…?」というツッコミも多々生まれてしまった。

かかってこいと啖呵を切ったアンジーがものの数十秒で殺されかけ、
そんな彼女を過去最強の刺客であると語る海坊主、
彼女と戦わないでと言った香が数分後には早く楽にしてあげてと叫ぶなど、
キャラ像・設定もあまりにもブレブレなのである。

最大の不満としてはリョウのガンアクションシーンがかなり少なく、
最序盤の次に彼がコルトパイソンを撃つのはラストバトル(もしも記憶違いであれば謝罪したい。少ないことに変わりはないが)である始末。

水戸黄門的なテイストの強いこのコンテンツにおいて、
「観客たちの望むシティーハンター」を構築することがこんなにも難しいものなのだろうか…?
俺に監督をやらせろなどというあらゆる界隈において世界中にありふれている愚痴が、嫌でも自然と脳裏に過ぎってしまう作品であった。
みつる

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