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スピリテッドのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

スピリテッド(2022年製作の映画)
3.0
感謝祭を来週に控えいよいよホリデーシーズン到来!にあわせて公開された主演ライアン・レイノルズ&ウィル・フェレル、作曲は「グレイテスト・ショーマン」「ディア・エヴァン・ハンセン」のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールで送るクリスマスの大型ミュージカル映画 (AppleTV+)です。

ミュージカル映画にしても歌がぎっしり異様に多いのはもちろん、とにかくこの時期に食卓を飾る七面鳥の如くとりあえず何でも詰められるだけ詰め込んどけの精神が素晴らしい?かどうかは各々ご確認くださいませ。

基本的には金の亡者で冷酷なオヤジ(ライアン・レイノルズ)が温かなクリスマス精神を学ぶお馴染みの「クリスマス・キャロル」を亡霊(ウィル・フェレル)の視点から焼き直し、SNS時代に蘇らせた作品になっています。

まず素晴らしいのは歌唱シーンの振り付け。バックダンサーの使い方がホントうまくて、眺めていてただただ楽しいし気分が上がる!一方で、明らかに足を引っ張っているのが肝心の曲です... これ、ホントに「ディア・エヴァン・ハンセン」の曲を書いたあの二人なん?

本来は登場人物の思いを効果的に伝えるための歌のはずが、パッとしない曲にむしろその思いが軽くなって完全に逆効果になっているし、終わってから口ずさみたくなるような曲が一つもありません。というか、口ずさもうと思っても何も頭に残っていない。クリスマス精神の魔法の映画なのに、この名作曲家コンビにかかっていた魔法が解けてしまった後を鑑賞しているようで悲しくさえなる。

また、とにかくいろんな楽しい要素が数秒ごとに詰め込まれていて非常に贅沢な作りにはなっているのですが、やはりこれも「やり過ぎ」で感動的な物語がもたらす高揚感を邪魔するものになっています。

もちろん、クライマックスのまとめ方はうまくて、あの抱擁シーンは胸がいっぱいになる。でもよりシンプルに仕上げ歌や過剰な演出に気が散らなければ、もっともっと感動できたはずと感じずにはいられません。

本作の終盤で言及のある9月末に公開されたばかりの映画「Bros」同様、大きな特徴の一つはポップ・カルチャーネタであふれていること。生徒会長を目指す男の子のSNS投稿は、年齢が一致することから元ネタは12歳の時の投稿の服装がKKKを連想させるとしてアメリカン・アイドルから降板させられた当時16歳のカレブ・ケネディだと思います。

主演の二人はいつも通りな感じで安定感がありましたが、特によかったのは亡霊が恋するキンバリーを演じるオクタヴィア・スペンサー!でも、さすがにウィル・フェレルとっていうのは無理があるでしょ😋。PG-13で家族で楽しめるようになってますが、R指定にならないギリギリを狙ってますね(笑)... まさかのジュディ・デンチ!もお見逃しなく。

もう一度観たくなるような作品ではありませんが、現代版「クリスマス・キャロル」としてホリデー気分に浸るのに一度は観て損はないと思います。

Good afternoon!
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