ワンコ

夜霧の恋⼈たち 4Kデジタルリマスター版のワンコのレビュー・感想・評価

4.2
【何が夜霧なのか】

アントワーヌ・ドワネルの物語の3番目。

この作品から自伝的要素は少ないと言われているが、トリュフォーも第一次インドシナ戦争に従軍していたと矢田部さんがトークショーでお話しされていたので、そうした経験はきっと盛り込まれていたのだろう。

因みに、ベトナム戦争は第二次インドシナ戦争と呼ばれることもあります。

この中のアントワーヌはやっぱりダメダメな感じだ。

失恋で一念発起して従軍したものの、辞めさせられて、あれこれ言い訳をして、昔のガールフレンドのクリスティーヌに優しくして欲しくて、連絡を頻繁に取る。

まあ、僕自身は、社会人になってから仕事であれこれ言われるようなことはなかったけれども、やっぱり、なんだかんだで自分の人生に異性は欠かせなかったことは重なるし、やっぱり、観ていて、ちょっと気恥ずかしくなる。

アントワーヌは基本的に仕事に向いてないんだよなとか、「大人は判ってくれない」では、ふむふむとアントワーヌにシンパシーとかエンパシーも感じていたが、アントワーヌは基本、ずっと大人になれていないだよなとか余計なことも考えて笑ってしまう。

車で走ってみた経験のある人はお分かりだと思うが、夜で霧が立ち込めていたら、どっちがどっちか判断がつかなくて大変だ。だから、夜霧なのだと思うが、タイトルにある”夜霧”のせいというより、アントワーヌが周りが見えていないという方がもしかしたら正解かもしれない笑。

だからこそ、エンディングは、”判ってもらって良かったじゃん!的”だ。

そして、このエンディングが、いかにも中途半端じゃないかと、この二人は結婚させるべきだと、この作品を気に入った大御所の映画関係者が発言したらしく、そして第4番目のアントワーヌの物語が制作させることになったようだ。

この作品は、「大人は判ってくれない」から一転コメディなのだが、トリュフォーは面白いというか、映画に対して実験的で、彼自身は実は奥深い映画作家なのだと思う。
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