蓮實さんは、この映画が「自然な映画に対する距離」を表したって言ってるけど、ほんとうにそうだと思う。ぼくたちが映画と付き合うとき、たちかえるべき姿勢がこの映画にはある。
映画は決して特権的なものでも、閉鎖的なものでもなく、誰にとっても親密な感情を生み出しうる。
子どもたちの嬉々とした顔を映すに終わらず、彼らが「デモ」を創作のテーマにすること、彼らの夢を聞くこと、チリの村を俯瞰で撮ることをしながら、最後に響く列車のガタンゴトンは、あのときのチリにおいて、新たな映画とその観客の誕生をお祝いする。
映画イモムシの可愛さ!