ネギの子供

100人の子供たちが列車を待っているのネギの子供のレビュー・感想・評価

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監督のイグナシオ・アグエロは、農民虐殺を題材にした処女長篇のフィルムを政府により押収され、映画をどう作ればいいかわからなくなった。次に取り掛かったのが「これが私の好きなやり方」という、彼自身が知人の監督たちに独裁政権下における映画作りとは、映画的手法とはを尋ねる短編ドキュメントだ。表現を弾圧された彼が取ったこの行動は、自らの指針、そして映画とは何かを考え深める作業だったのだろう。そんな彼が出会ったのが「100人の子供たちが列車を待っている」で優しい眼差しのもと捉えられるアリシア先生の子ども映画教室だった。

映画ではチリのサンティアゴ郊外ロ・エルミーダで半年間にわたって開かれた授業を追う。彼女は毎週土曜日、教会を改装した場所で教鞭をとる。映画館のない町に住む、ほとんどが映画を一度も観たことのない子供たち。彼らは図画工作の授業のようにゾートロープ、キネトスコープといった視覚的喜びに満ちた装置を作り、映画の誕生までを身をもって追体験する。そしてまたショットサイズやトラベリングといった技術的なあれこれ、ミッキーやチャップリン、赤い風船などの映画鑑賞を通じてその楽しさ、ひいては世界について学んでいく。

タイトルに含まれる「列車」が意味するのは、リュミエール兄弟が1995年12月28日にパリのグランカフェで上映した映画「ラ・シオタ駅への列車の到着」のこと。もはや映画史の常識、伝説と化している映画誕生の瞬間だ。アリシア先生は強調する、「これは覚えておきなさい」と。この言葉に深く感動してしまう。この教室が目的とするのは、映画をきっかけに子供たちの想像力を育むこと。映画誕生の瞬間、その日付が想像力に関連性があるのか?と野暮な疑問が頭をよぎる。しかし
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