コマミー

リバー、流れないでよのコマミーのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.9
【2分間ループ】






劇団"ヨーロッパ企画"の主宰"上田誠"とそこに所属する"山口淳太"…3年前に公開されて大きな話題となった「ドロステの果てで僕ら」で組んだ2人が、また面白い"SFコメディー"を誕生させた。
今日本でインディーズ業界で本当に「面白い」と思える代表格を作れるのは、上田慎一郎監督が所属するENBUゼミナールと上田誠与するこのヨーロッパ企画なのではないのだろうか?実際、私も3年前「ドロステ」を鑑賞したのだが、まさに「上田誠がまた何か面白いの作りやがった」と思ったほどだ。

そんな2人が今回で挑んだのは、"タイムループ物"。ハリウッド作品だと「ハッピー・デス・デイ」シリーズやトム・クルーズの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」そしてビル・マーレイの「恋はデジャ・ブ」などが想起されるだろう。日本でも「MANDAY」なんかがそうであろう。
そして今作では"鞍馬・貴船にある旅館"を舞台に、"限られたエリア内"そして何よりも重要なのは"ループが始まる時間が2分後"と言う事。

限られた空間そして時間で、どんどんこの"タイムループの原因を探っていく"と言う物語となっているが、この何度も繰り返される2分間の行動の中で、徐々に"人間の特性"がどんどん見えてくるのが面白かった。逃げ出せない不安気に駆られ暴挙的になる人や、逆に無気力になる人、そして"儚き恋に揺れる人"…本作は決して群像劇と言う訳ではないのだが、そんな感じで色々見えてきたのだ。
そして終盤…ここで一気にこのタイムループの真相が明かされるのだが、「ええ!?」と声を出したくなるほど驚いたが、「やっぱこの人最初から怪しかったよね?」と2つの感情が芽生えて混乱してしまった。この作品の中でも自分の中で、あやふやだった所かなと感じた。

「ドロステ」よりも格段に面白い作品になってた。「サマー・タイムマシン・ブルース」や「四畳半タイムマシン・ブルース」の興奮を想起させたし、やはり上田誠さんはSFがとても好きなのだなと感じさせた。
キャストの皆さんの演技も、癖があって面白かった。幸福感てんこ盛り。

まだまだヨーロッパ企画の今後に注目ですな。
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