ぼっちザうぉっちゃー

リバー、流れないでよのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
4.0
すっごい面白かった。

まず状況の整理やルール確認、認識のすり合わせなどをワンカットの2分リミットの中で幾度も繰り返しながらドタバタとこなす序盤のワクワク感が堪らない。その中で旅館という舞台設定と仲居のキャラクターが自然と奇妙な現象を業務的に納得させる不思議な魅力に溢れていて絶妙だった。
“初期位置”を起点とした行動の制限から来る「2分ネタ」を擦りながら、着実にシナリオを進めていく塩梅も絶妙で、退屈する暇もないほど軽快に駆け抜ける。
それから始まる小っちゃな恋の逃避行というアイデアがテーマみたいなものといみじくも調和していてささやかな茶目っ気に富んでいて、シンプルに最高に愉快だった。それこそ何回でも繰り返してしまえと思うほどに。

また、静かな川と降りしきる雪、山間の鳥居、などロケーションも抜群で、日本の原風景的なスピリチュアルさがとても雅だった。
今の季節に観ると余計に爽やかさと涼しさが本当に癒しになる。

業務過多の混乱とおかしみにあふれた登場人物たちの演劇的な雰囲気は、いやらしい感じ無くとても心地よくて、一体感みたいな幸福感すら覚える素敵なものだった。

あくまで低予算で、ワンシチュエーションコメディに徹するものではあったが、ラストの突飛な抜けオチみたいなものまで含めて、とても愛せる作品だった。