ぺむぺる

ミッション:インポッシブルのぺむぺるのレビュー・感想・評価

2.0
トムがいろいろと宙ぶらりんになる話。秘密諜報組織に所属する敏腕スパイが、内通者の罠によって濡れ衣を着せられ、組織から追われる羽目に。超ヒットシリーズ「ミッション:インポッシブル」第1作。思いのほかわけのわからないストーリーで、「単純な娯楽活劇ではない」と悪い意味で言いたくなる作品。

事件全体も捉えどころがないのだが、それに輪をかけて、主人公が何のために何をしているのか、その行動原理がさっぱり理解できない。ネタが割れてしまえば一応のオチはつくものの、そこに至るまでのとりとめのなさにいささか閉口してしまった。そのストレスは大団円をもってしてもリカバーされたとはいいがたく、把握はできても納得はできないといった感じのもどかしさが残る。はたしてラングレーへの侵入は本当に必要だったのか。ほかに、真犯人の決定打もピンとくるものではなかったりと(種明かしシーンは見事だが)、全体的にわかりにくい。度を越した寸止め芸といった趣。

そんなわかりにくさを、論理的なシナリオで解決するのではなく、派手なアクションで解消しようとするから余計に物語が混迷してしまう。逆にアクションシーンにとってみれば、サスペンス部分のわかりにくさがアダとなり登場人物の緊張感に寄り添えない。本作においては、サスペンスとアクションが互いに相乗効果を上げるのではなく、それぞれがそれぞれの足を引っ張っているような印象だ。

思うにすべては主人公イーサン・ハントへの信頼感なのである。彼の狡猾さや正義感をどれだけ真に受けられるか。その距離感が適切でないために、映画全体の印象がぐらついてしまう。まあ、このへんはトム・クルーズの絶対的主役感を、わたしが個人的に正しく受け取れなかった、ということなのかもしれないが。

序盤のミステリアスなプラハのシーンや、スパイ(映画)の終焉を登場人物のひとりに語らせるシーンはよかった。冷戦後の世界で、いかに当時の雰囲気を活かしながら新しいスパイものを作るかといった気概を感じる。しかし、それでできたのがコレというのはやはりちょっと残念すぎる。



P.S.
世代的にはドンピシャのはずだが、これまで縁がなく今回が初見。監督もデ・パルマじゃん、とオープニングで初めて知ったという体たらく。本文はそんなにわかの戯言であるが、はたして年若い頃に見ていれば興奮できたかというと…自信がない。現時点で3まで見たけれど、3は傑作ですね。
ぺむぺる

ぺむぺる