たま

13人の命のたまのレビュー・感想・評価

13人の命(2022年製作の映画)
4.0
洞窟に取り残された、サッカーチームのコーチと少年合わせて13人を救うため、タイ国内のみならず世界各国から救援に訪れ、叡智を絞り、協力して行われた救出作戦。

当時、私達もテレビを通じて見守っていた。洞窟内で13人が生きていたという報道に安堵したのを覚えている。

その後の救出のミッションは極めて困難だったとは聞いていたけど、ほとんど奇跡に近かったんだと改めて認識した。
決断した勇気を称賛したい。

最初に4人が救出されると、家族も関係者も歓喜に湧く中、ダイバー達には喜びの表情がない。「1人でも救えたらいいという気持ちでいたけれど、4人を救い出した後は、1人の命も落とすことは出来ない」という言い知れぬ重圧がのしかかっていた。
どれだけ困難なミッションだったのかが伺える。

また、取り残された13人の忍耐力にも驚かされる。
祈りや瞑想の力、信仰心の篤さもこんな状況を救ってくれた。

現場に立ち会ったダイバー達だけでなく、洞窟に水が入らないよう塞ぐ作業に携わった水道技師や地元の人々、自らの田畑の作物を犠牲にしてまで水を排水することを許した農家の人々。

多くの人が何としても13人の命を救いたいという思いがあってこその成功。

命はこんなにも重い。

日々伝えられる、ウクライナでの死者の数に、命の重さを微塵も感じられない中での鑑賞に、思いもひとしおだった。

ただただ、亡くなられた2名の方のご冥福をお祈りします。
たま

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