タイのタムルアン洞窟に遊びに行っていた地元のサッカーチームの少年12人とコーチ1人が、豪雨の浸水により閉じ込められ取り残されてしまった実際の遭難事故とその救出劇を描く。
名匠ロン・ハワード監督が手がけただけあって、リアリティと臨場感、緊迫感あふれる演出がお見事。
数年前の出来事だし世界的ニュースとしても大きく取り上げられていたのは記憶に新しいところ。ただそういえばどうやって13人が生還したかまではほとんど知らなかったので、色々と衝撃的だった。
要請を受け、または自発的の世界各国から多くの人がレスキューに駆けつけ、最終的に救出作戦の大きな役割を担ったのはイギリス人の水中洞窟ダイバーだった。しかもその方法が桁はずれで作戦実行の様子には手に汗を握りっぱなし。
狭くて暗い激流の泥水を掻き分け潜水し続ける決死の救出シーンは、観ているこちらも思わず息が詰まりそうになる。
子供達を救いたい一心で多くの人が全面協力し合う姿に胸を打たれたし、諦めずに救出を続けたダイバーの献身や困難を乗り越える力には心から賞賛を送りたい。
ダイバーだけではなくタイをはじめとした各国軍やレスキュー隊、水道技師、知事、親たちから地域の人々など直接的に間接的に、救出に関わった全ての人が起こした奇跡。それぞれ立場が抱える苦悩や救出への思いなどが多面的なアプローチで描かれていて、ドラマ性も非常に高い。
もちろん被災した子供たちもコーチも想像を絶する困難を頑張って乗り越えたのは言うまでもないが、今作はそこにあえて時間を割いてフォーカスしていない。にも関わらずそれが十分伝わるところが本当に凄いなと思った。
今作のために実際に潜水したというコリン・ファレルとヴィゴ・モーテンセン、ジョエル・エドガートン、トム・ベイトマンといった実力派の演技もとても素晴らしかった。
