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哭悲/The Sadnessのkeeper7のレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
3.6
久しぶりのホラー映画ハシゴの一本目、ホラーマニア間でゴア描写がヤバいと話題の本作を観てきた。

台湾産ホラーでありながら新進気鋭カナダ人監督がメガフォンを撮るこの作品、予告を観て期待値上がりまくりったが、あえてそれは下げての鑑賞が結果的には良かった様に思う。

ストーリーの前半のパンデミック発生の描き方がこの手のジャンルでは定番すぎではあったが、グロ描写とバイオレンス、血の量が振り切っていて爽快感すらあったし不穏感と気色悪さは他の同類作品より一歩抜きん出ていた。血の色(これ大事)も特殊効果もクオリティは高い。
しかし肝心の物語の方は冒頭から前半までのテンポの良さは次第に失速していき、ゴアと起きている事象や状況を長く見せすぎる傾向があり、その冗長さで折角の良い緊張感が無くなってしまっていた。いや、そのしつこくじっくりゴアを見せるのがこの作品の売りにしたかったのも分かるが、その分を次の展開にまわしてどんどん先に行った方が新たな残酷シーンも増やせただろうし、作品のテンポも良くなっただろう。

あと後半の展開もこちらの想像通りに進んでいき目新しさが無かったのも残念。
そしてグロさに反して怖くなかったのも事実。視覚だけではなく精神にも訴えかける恐怖演出がもっと表現できていたら近年稀に見るホラーになったかも。

結構辛い評価になったが、ゾンビウィルスの新解釈と今までのゾンビパターンに知性と性欲の概念を取り入れたアイディアは新しかったし、新鮮ではあった。フランス産ホラーや韓国産ホラーにも通づるイヤ~な雰囲気もよく出ていた。

製作開始から上映までの期間が約8ヶ月というのにこのクオリティを出せたのも賞賛に値する。
さらなる期待を込めてジャバズ監督の次回作を待ちたい。
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