真っ黒こげ太郎

哭悲/The Sadnessの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
4.8
その悲しみと悪意は、感染する。

悪夢の100分をノンストップで駆け抜ける、驚愕の地獄絵図。




”アルヴィン”と呼ばれるウィルスが蔓延している台湾。
しかし、そのウィルスに発症しても風邪みたいな症状しか出ないので、人々の警戒はすっかり解けていた。

だがある日、ウィルスが突然変異を起こした。
その変異したウィルスは人の脳に作用して、感染者を途轍もないレベルで凶暴化させ、血に飢えた狂気の殺戮者へと変えてしまうのだ!!!
町中に広がった感染者によって台湾の街は血みどろの大惨事に!!!

カイティンとジュンジョーの離れ離れ状態のカップル2人は、どうにかして再開しようとするが…。




変異したウィルスによって感染者達が狂人化し、町中で恐るべき大惨劇が繰り広げられる、台湾産の極悪・バイオレンス・パニック・ホラー。

血みどろホラーファンの間で話題になってた本作。
過去のクロックワークス配給の事例からご近所の劇場公開は無さそうだなと思ってたら、まさかまさかのご近所で一か月遅れで公開!!!

血みどろホラー好きとしてはこりゃ行くしかない!!!しかし、予告や前評判を見たり聞いたりする限りではかなり胸糞でエグそうなので、覚悟を決めた上で劇場へ見に行ってきました。

後、私的にはキチガイ連中大パニックだけで100分も尺持たせられるか不安だったし。
(狂人が殺戮を繰り広げるスプラッター映画を見慣れてるのもあって。w)



いやぁ、

こいつぁ

ヤベェわ。



躊躇のないアンモラルな暴力祭り。
休まることなく描かれる100分間ノンストップのアルティメット地獄絵図。
アジアで作られるマジキチ鬼ヤバスプラッター映画史にまた一つ新たなマジキチ鬼ヤバスプラッター映画が生まれました。w


本作のお話は「ウィルスが突然変異して町中がキチガイだらけに!」という単純明快な話だし、その中から主人公のカップルが逃げ出そうとあーだこーだするという、これまたようあるパニック映画のありがちパターンで新鮮味は薄いです。
後半出てくる狂った科学者とかラストの展開とかも、他のパニック物で見た気がががが。w


しかし本作はそれを差し引いても凄まじい。
何が凄まじいってそりゃもう全編に渡って繰り広げられる圧倒的な暴力と惨劇とバイオレンスっぷりが。

平和なのは冒頭の主役2人のシーン位で、そのちょっと後で一度パニックが始まってからはその後ずっとバイオレンスと惨劇の連続!!!

本作のバイオレンス描写は「金・暴力・S●EX!」の「金」の部分を「殺戮」に変えて、一億倍位濃くしたような感じ!!!(分かりにくい例えだな)
狂人は恍惚の表情に包まれながら(時に涙を流しながら)、ありとあらゆる殺戮を繰り広げる。
ナイフで刺すわ、肉を食いちぎるわ、ゾンビみたいに群れで襲うわ、吐瀉物をぶちまけるわ、凄まじい性欲で容赦なく女を犯すわで、あるとあらゆる惨劇と暴力の満漢全席状態。
終いにはウィルスで狂人も感染するので、感染者同士で血みどろになりながらヤリまくったりする!!
俺こんなシーン見たことあるよ、JVD配給のグロゴア映画で。w


本作の残酷描写は痛さやエグさを強調した感じになっていて、以外にも直接的な人体破壊シーンは少なめ。
意外にも殺害シーンを見せない場面も多く、抑制が効いてる。
だが、そんな抑制が意味のなさないレベルでエグイ血まみれ残酷シーンばかりだし、見せない部分も逆に想像が膨らんでエグさが増している。
それに、指チョンパや顔面溶かし、臓物の流れ出るバラバラ死体、頭がパーン☆とかのシーンはガッツリ見せてくるぞ!!!

…因みに私的に一番きつかったのは眼球突き刺しの後でハゲオヤジ狂人に再び鉢合わせした際のアレ…。
直接は見せなかったけど、アレは流石にダメだって…やめて…。(白目)


ドラマに関してはやや行き当たりばったりな感じもするが、あんなヤバい連中が沢山居る中じゃドラマもへったくれも無いのでしょうがない。w
主人公カップル2人以外にも登場人物は沢山出てくるが、大体狂人仲間になるか惨たらしく死ぬかのどっちかという潔さは良い。w
個人的にはカップルの女子にセクハラしてきてそのまま狂人になったハゲオヤジが実にキモく良いキャラしてました。


難点を上げると、後半、マッドサイエンティストな男が出てきてからは説明的な台詞が多くなり、ややトーンダウンしてしまうのが残念。
(「正気の人間も恐ろしい」というのを描きたいのは分かるし、その後に赤ちゃん絡みの(!?)エグイシーンもあるけど…)

後、クライマックスの展開は思いの外静か目で、それまでの狂いっぷりに比べるとやや地味に映ってしまったかな。
後、ラストはある程度予想の付くオチだったとはいえ、何で最後の最後でアイツも発狂したんだ?
(結局、抗体は無意味だったって事?)


終盤で少し勢いが落ちてしまうのは残念だったが、それでもとんでもない分量のエグイ暴力を叩き込まれた。

静かなラストからの激しいメタル曲&ポケモンショックに加え、中国語の文字が流れるエンドクレジットの後ろで流れる不気味すぎるエンディングテーマも相まって「物凄いアンモラルなヤバい映画を見ちまった」という疲れがどっと押し寄せた。
劇場を出た帰り道、車に乗る前に居酒屋の前で酔っぱらって笑っていた女子の笑い声が本作の狂人の狂喜に聞こえてしまい、ますます気が気じゃない恐怖に襲われ慌てながら帰路に就く羽目になってしもうた。疲れた…。


直接見せない場面もあるのでゴア映画ファンの中には物足りないと言う人も居るだろうし、血みどろな映画初心者とかにも間違いなくオススメは出来ないだろう。

だが、容赦なき狂気と暴力と恐怖をこれでもかと味わえる、噂に違わぬ衝撃作には違いないので、興味を持たれた方は覚悟の上で見に行ってください。
無論、言うまでもなく大画面の劇場で体験した方がいい映画には違いないので、血濡れ映画を愛する人は間違いなく劇場で見に行った方が良いですよ!!!!