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哭悲/The Sadnessのkuuのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
3.5
『哭悲/THE SADNESS』
原題 哭悲 The Sadness.
映倫区分 R18+
製作年 2021年。上映時間 100分。
人間の凶暴性を助長するウイルスが蔓延した台湾を舞台に、地獄絵図と化した街で再会しようと奔走する男女の運命を、容赦ないゴア描写で描いたパニックホラー。
今作品が長編デビューとなるロブ・ジャバズが監督・脚本・編集を手がけた。
余談ながらコロナ禍や政府の規制により、地下鉄や病院での撮影は不可能やったため、今作品のセットはスタジオでゼロから作られたそうっす。

台湾で感染拡大していた謎のウイルスが突然変異を起こし、人間の脳に作用して凶暴性を助長する恐ろしい疫病が発生した。
感染者たちは罪悪感に苦しみながらも暴力衝動に抗えず、街中に殺人と拷問が横行する事態に。
感染者の殺意からどうにか逃げ延びたカイティンは、数少ない生存者たちとともに病院に立てこもる。
カイティンから連絡を受けたジュンジョーは生きて彼女と再会するため、狂気に満ちた街へひとり乗り出していく。

今作品は長い間見たかったけど、なんやかんやでやっと視聴した。
実際、視聴後の印象は一般的で、心理的な期待も十分にあったしやろうけどゾンビ(ゾンビと呼べるかは不明やけど)の表現はまだ許容範囲内やったかな。
あくまでも、こないな系統の耐性がかなり付いてるしやと思いますが、しかし、イカれ具合は結構高目でした。
ただ、残念なんは、プロットが予想以上に弱いのが実情で、結局、ウイルスの広がり方が十分に理解できなかった。
しかも、今作品は、先にも書きましたがゾンビ映画って個人的には呼べないかなぁと思います。
作品をみる前に、あちらこちらで入ってくる今作品の情報やと『ウィルス感染』だの、あからさまに『ゾンビ』やと云う表現で説明されてたし、勝手に思い込んでただけやけど、作中の感染者は、まだ人間の意識や思考を保っていて、普通に会話することさえできてた。
しかも、鉈やナイフ、そしてトンカチといった道具も使えるし、ゾンビの範疇では括りにくい。
小生が考える理性が薄れ本能が剥き出しになるよう脳に働きかけるウイルスの感染された人間と云った方が無難かな。
とは云え、奴らに殺られる方法が噛みつきと引っ掻き以外に道具で殺る手段を与えとるしエグさはゾンビより増していたのは事実かな。
最も暴力的で汚い側面だけが刺激され、ちょうど人が瞬きをしなければならないように、まったくコントロールできない。
だからこそ、なんかの映画雑誌で監督はこの映画で人間の "悪 "の部分を浮き彫りにしたいと云っていたんやろな。
疫病という考えさせられる大きな環境もあり、監督の表現したいことは理解できる。
しかし、『新感染 ファイナル・エクスプレス』と比べると、こちらも極限状態の中で人間の悪を表現しており、人物描写はもっとひどい。
キャラの感情もまったくなく、当然、単純なB級映画になってしまう。
しかし、地下鉄で血の川が流れていても、携帯電話を取り出して撮影することを忘れない観客や、パニックに陥った人々に歴史の教訓を語りながら、有効な行動を起こせない大統領や、自分は正義で威厳があると思っているが、赤ん坊を実験する医者など、いくつかのシーンで監督が注意を加えようとしていることが見て取れたりするんやけど。
もちろん、こないな人たちには、良い結末はないんやけど。。。
リソースがあれば、もっと広範な議論ができるはずやと思います。
まぁ、一般的なゾンビは喰らうだけの単純脳やけど、今作品におけるアンデッドは、小生が常に思ってる薬物によって作れる可能性はあるモンやと思います。
ただ、そないな本能剥き出し人間に変化させるなら(喰らう、セックスを求めるなど)、四六時中眠る者も出てきてはおかしくないんちゃうかな。
ちょうど、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にでてくる、起きるのは4年に1度の日暮巡査みたいな。
また、こないな人間を本能剥き出しにしてしまう違法ドラッグがあると云うのは、都市伝説かも知れないけど聴いたことがあるかな。
まぁ、ストーリーは横に置いといて、エグさを重視した作品を求める方には結構ドンピシャ作品なんじゃないかな。
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