りょう

告白、あるいは完璧な弁護のりょうのレビュー・感想・評価

告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)
3.4
 オリジナル版の「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」は3年前に観ました。日本ではなかなか注目されにくいスペイン映画ですが、脚本や編集が素晴らしい“隠れた秀作”です。
 これがリメイク版だとわからなければ、「やっぱり韓国映画ってすごい!」と思ったはずです。登場人物も観客も騙される巧妙な仕掛けをうまく表現しているので、とてもわかりやすいです。やや格調のある映像やロケーションも悪くありません。
 ただ、この作品では、本筋のプロットはオリジナル版のまま、その核心であるシーンをエンディングまでの1つの過程にして、さらなる展開を追加しています。リメイク版としての独創性は否定しませんが、この物語の特性が不明瞭になってしまい、ちょっと逆効果(蛇足)だった印象です。韓国の映画業界には素晴らしいクリエイターがたくさんいるはずなので、リメイク版にそういう人材を投入するのは、せっかくの才能を浪費することになりかねません。
 主人公の不倫相手を演じたナナは、ショートヘアで登場する場面の美しさが破壊的です。不倫している時点でどっちのキャラも悪人ですが、善人のパターンでの表情の変化も多彩です。オリジナル版はどんでん返しと伏線回収があまりに鮮やかで、必ず2回観たくなりますが、この作品は彼女を観る以外に2回目の必要性を感じませんでした。
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