Ninico

ショーイング・アップのNinicoのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)
4.1
ケリー・ライカート監督はアメリカのインディペンデント映画作家であり、ニューヨーク州のバート大学で教鞭も執っている。
2020年、A24配給の『ファースト・カウ』で第86回ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞を受賞。この『ショーイング・アップ』は同じくA24配給のケリー・ライカート監督の最新作である。

物語の主人公はオレゴンのアートスクールで教鞭を執る陶芸家リジー(ミシェル・ウィリアムズ)であるが、なんとも華がない仏頂面の佇まいがユニークである。
ずっとダサい格好をしているが、猫背の立ち姿は何故かアーティスティックに見える時もあり体格に恵まれてどこかお洒落ですらある。

リジーはなかなか尖った陶芸作品を作っており、他に出てくる隣人やアートスクールの人々の作品も独創的な作風のものが多い。

アトリエの風景や制作に没頭する人々の姿の描写にリアリティがあり、私は美大出身なので余計懐かしく愛おしかった。私の学生当時は美大の中でも理論派でデザイン志向の人と、感覚派でアート志向の人と二分されていたが、この映画に出てくる人達は完全に後者。自由を愛し独自のアートを追求し作家として立身したい人達である。
そういう風変わりに見えるアーティストの多くも素朴で何でもない日常を生きている。
その平凡な暮らしが淡々と描かれていて、特に何も起こらないところが好印象だった。

そして重要な役どころである鳩の仕事が見もの。

それにしてもオープニングとエンディングの曲がめちゃくちゃ格好良くて、欲しいんだけど音源どこですか。誰か教えてください。
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