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ショーイング・アップのtaiaのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)
3.5
ツイッターで最近知り合った相互さんが観られてて気になったので急遽観に行った。良かった!『ファースト・カウ』と同じ監督さんとのこと。

ミシェル・ウィリアムズ演じる主人公リジーは彫刻家で、数日後個展を控えピリピリしている。それなのに、家を貸してくれてる芸術家仲間の大家ジョーはお湯が出ないシャワーを2週間も修理してくれないし、庭で拾った怪我した鳩の世話をリジーに押し付けてくる。ジョーは知らないけれど、鳩はリジーの飼い猫が捕まえて部屋に持ち込んだのを、リジーが庭に捨てていたのだった。

特に大きなことは起きないけれど、終始緊張が途切れない作品を初めて知ったのはジャームッシュ監督の『パターソン』ですが、本作も同じような作品でした。というか、最近そういう作品増えた気がする。

主演のミシェル・ウィリアムズがひたすら良かった。不安定で、個展の準備に追われてるし自信も他の人ほど持てない繊細さ危うさがひしひしとそのしかめ面から伝わってくる。でも動物にも、家族にも、誰に対しても優しくて、不器用な人であることが伝わってくる。偶然知り合うドロシー(?)とのやり取りが心温まって素敵だった。

リジーに家を貸してる、そして自分が教員として勤めてる芸術大学の生徒ジョーとの関係が絶妙。良し悪しで判断すれば間違いなく「良い人」だけど、絶妙な距離感や自分が「それくらい」と思う事の違いによってどうにも「嫌な奴」に見えてしまう。しかも自分より成功してるところがまた笑 ただジョーもジョーで個展を2つ控えていて、そういう本来はちょっとくらいソリが合わなくても平気な2人のお互いの余裕のなさが、あんなシーンやこんなシーンになるのかなと想像しながら観てた。

特に大きなことは起きないけれど、人間の心の機微が如実に現れる作品。大好きなやつでした🥰
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