コマミー

ショーイング・アップのコマミーのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)
3.7
【芸術家の焦り】



※U-NEXT主催、特集上映「A24の知られざる映画たち」上映作品






昨年の12月22日、やっと日本で公開された"ケリー・ライカート"監督の「ファースト・カウ」や"A24"が配給したオーストラリア製ホラー「トーク・トゥ・ミー」が公開されてる裏で、U-NEXTがA24製作の"日本未公開作品"を集めた特集上映「A24の知られざる映画たち」が実施されている。A24作品を隅々までかぶりつける非常に贅沢な上映会であり、映画好きならこの機会を逃さないでほしいところだ。
実はここでもケリー・ライカートの"最新作"である本作が見れ、上映されている作品の中でもトップクラスに人が入っていた。しかも主演はライカート作品の常連である"ミシェル・ウィリアムズ"が担当しており、見ない訳にはいかないだろう。

非常に"ドキュメンタリータッチ"な構造で描かれており、まさに1人の芸術家の"忙しい日々"を描いた作品だった。
芸術家らしいといえばそうかもしれないが、主人公の"リジー"はとても"繊細な性格"で、少し"イライラしやすい一面"を持っている女性だ。彼女が作る"彫刻作品"にもその一面がまんま出ており、なんかこうゆう人間は世間を見渡せば結構いるような気がしてならなかった。
そんなリジーのライバルであり、リジーを抑えつける役どころなのが隣人で大家の"ジョー"だ。またこれを"ホン・チャウ"が演じているのもまた良くて、リジーの"性格の対比"としてとてもよく機能しているなと感じた。

芸術家ならばこの光景を見て共感を隠せないとは思うが、私は日本の仕事人にもめちゃめちゃ共感してもらえる物語だなと思った。
マジでリジーが思っている事と同じ、「時間」が本当に欲しい。リジーが思っている事と、サラリーマンやサラリーウーマンが思う事は全く同じだという事に気づき、本作も何も起こらないように見えて、それでも見応えを与えてくれる作品だなと感じた。

「ファースト・カウ」と比べると私はあまり刺さらない部分も多かったのだが、共感できる人なら本作がとんでもない傑作に化けるのかなと、本作を見て感じた。
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