藍紺

ショーイング・アップの藍紺のレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)
4.0
美術学校の講師リジーは個展開催の準備に忙しい。だがそんなことはお構いなしと言わんばかりに些末な厄介事が舞い込んでくる。日々の生活と仕事の両立の難しさ。進まない創作活動にイライラは募るが、ままならない日常は続いていく……。

創作と生活はつくづく相性が悪い。自分の世話をしてくれる人がいるリッチな芸術家は別だが、多くの人は仕事をしながら創作をしなければならない。今作に共感する芸術家は多そうだ。モノづくりを続けていく中で出会う芸術家同士のリスペクトや嫉妬といった感情も上手くブレンドされてて、気持ちの浮き沈みをコントロールすることって難しいんだろうなと想像した。

リジーを演じるミシェル・ウィリアムズが終始不機嫌そうで良い(笑)。つっかけ履いてペタペタ前かがみになって歩く姿がペンギンのようでとてもキュート。共演のホン・チャウ、ジャド・ハーシュ、ジョン・マガロなど、昨年鑑賞した映画に出演の俳優陣が多くクレジットされており、それぞれ癖のある芸術家気質な面々を演じていてなかなか見応えがあった。

終始、リジーの閉塞感が漂っているんだけど、どこか淡々として暗くはない。ラストはそれまでの鬱屈が解放されるような抜け感があって、でもじんわり温かくなる感じもあってそれもまた良かった。
藍紺

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