例えば、散らかった部屋が平気な人ときれい好きな人が同居する場合、後者はせっせと片付けるでしょうし、なにか、きれい好きな人の方が損をする気がします。でも前者には、微塵も悪意はないんです。倫理観もセンスも価値観も微妙にちがう人々が一緒に生きていくこの世界。その微妙さ、それこそが問題の本質と言うこともできます。ですがしかし99%の人に積極的な悪意はありません(僕調べ)。あるいは、「良いじゃない」という作品への評価が信じられるのも、時には傷つけることも少なくないその友人の率直さゆえ。そんなズーズーしい？友人から押し付けられたハトを放って、二人並んで歩く後ろ姿のラストシーンが示唆することはとても多い気がします。
それにしてもこの監督のこうした極小の違和感を積み上げるセンスは他に見あたりません。
