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CUBEのますのネタバレレビュー・内容・結末

CUBE(1997年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

日本版を見る前に視聴。(昔昔に見たのだが記憶がほとんどないので再視聴。)

社会風刺が土台となったシチュエーションサスペンス。集まったメンバーはそれぞれ社会の集団を表していて、「ああこういうクラスタいるいる」と膝を打つのが楽しい。警察官の男は家族を大事にする保守派で全体主義的。医者の女は弱者を大切にする革新派で個人主義的。設計の男はペシミストだが希望を失ってはいない独身男性、学生の女は(一分野に秀でていたり可能性を秘めている一方)まだ視野は狭い若者。そして障害を持つ男は一見お荷物だが……。
最初は協力するもぶつかっていく様はまさに社会!という感じで面白い。
(去年見た「プラットフォーム」も作りは同じ。こういう構造好きだなあ。)

一方で主義主張を通そうとするあまり人物の考えや感情が飛躍するシーンがちょこちょこある。
そのせいで、ちょっと高尚なことを言おうとする学生演劇のような趣が出てしまい、非常にこそばゆかった。このあたりもうちょい上手にやれてたら傑作になれたかもしれんな…。(あと夫が「そもそも数学専攻と医者がいるのに初手で数字に座標の可能性を見出さないのはさすがにご都合感が…」と言っていたが、自分は数学なんもわからんので違和感を持てなかったです。悲しいね。)

しかし、ラストに向かっての疾走感と一縷の希望の見せ方が良かった。
あと個人的に「難しいことを考えて立ち止まらず、目の前のことをやるのが大事」みたいなセリフに納得させられそうになった体験が面白かった。人は目の前のことばかり考えていてもダメだし、全体のことばかり考えていてもダメなのだろな。

(余談だが登場人物の苗字が全て実在する刑務所であるのもオタク心をくすぐって良い)
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