"この映画『EO』は、動物と自然への愛から生まれた…"
カサンドラの相棒として、サーカス団の一員であったロバのイーオー…
動物愛護団体のデモにより、サーカス団に飼われていた動物達は全て連れ出される事に…勿論、イーオーも同じく連れ出され、カサンドラとは離れ離れに…予期せず放浪の身となったイーオー…その先で出会うのは…
イーオーのつぶらな瞳に映るのは、人の優しさか?それとも傲慢さか?…不条理なドラマが展開される…まるで人のように明確な意思を持っているかのように見えるイーオー…赤い演出は、イーオーの記憶…
だが、ロバなのだ…ロバの気持ちなんてわかる筈もない…勝手に擬人化して演出することこそ人のエゴなのだ…イエジー・スコリモフスキ監督の演出にはそんな人の傲慢さを表現しているのかもしれない。
ロバが主役だけにセリフは少なく、ひたすらに美しい風景と不安を煽りまくる重厚な音楽が流れる中、イーオーが出会う善人そして悪人共にその後の顛末は全く描かれず、ましてやイーオーが辿り着いた先も匂わせるだけで何一つ明確ではないという凄まじい展開にがっつりやられてしまいました。
出番は少ないのに、猛烈な圧演技で、全てをかっさらったかのようなイザベル・ユベールの存在感は流石です。
正直"あっ…落ちそう…"と思う時もありましたが、睡魔を越える画面の力に衝撃を受け、眠気がぶっ飛んだ自分がいるのでした…
凄い作品だけど、キツいよ…