しゅん

EO イーオーのしゅんのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
-
冒頭の回転するカメラとロバから音も画も過剰。鉄クズを落とすクレーンの横を馬とロバが通るシーンもノイジーな物量で迫ってきて笑える。劇伴も効果音も鳴き声も全部がデカい。故に『バルタザールどこへ行く』とは異なる印象を持つ。

クレーンの視点、フクロウの視点、馬の視点、人間の視点など、さまざまな位置からロバを映しつつ、ロバの低い視点からも撮られ、無人格的な正面シンメトリーの撮影も混じる。視点の交差としてロバの彷徨はある。

そして、鉄クズ、戸棚、大木、皿、ダムの大水と、あらゆる物質が落ちていく。故にか、あの赤い光の氾濫と共に、常に崩壊の予感を漂わせている感触がある。

非常に悲観的な印象を与えるのだけど同時に笑えもしたし、下品なようでいて気高いマナーを感じさせる。「この映画は動物と自然に対する愛によってできています」の字幕に笑ったけど、あれはギャグであると同時に本気の言葉だ。
しゅん

しゅん