このレビューはネタバレを含みます
【私利私欲】2023年47本目
赤と黒の点滅で始まる、ロバと女性のサーカスの演目。それは美しくも捉えられるが、人間に搾取される悲しき動物の断片的な表情も映し出す。
外では動物虐待のデモが巻き起こり、社会的な問題としてサーカスの動物たちは押収されてしまう。
EOはたちまち孤独となり、居場所を転々とするなかで様々な人々や動物の自由と不自由さを目の当たりにする。
サッカーの試合に遭遇したEO。
サポーター達はEOを勝利をもたらした機運として崇める。しかし、相手サポーター達は負けたことが気に入らず、本来関係のないEOを瀕死状態まで乱暴する。
そもそも人と人との分断が起きるているのに、我々は動物を理解することなんて不可能だ。しかし、動物たちを私利私欲のままに利用しようとする。
可愛がる対象。
競わせる対象。
家畜とする対象。
何かのシンボルとして拠り所とする対象。
他人を自分と同じ人間として理解することが難しくなってきている。
共通了解はどのように得ていくべきなのか。
EOの結末を感じて、その無慈悲さにしっかりと向き合いたい。