クリーム

EO イーオーのクリームのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
3.9
かなり変わり種の作品です。ロバのEOの目線で描かれる人間の愚かさ、残酷さ。黒く潤んだ瞳のEOは、何も語りません。ロバの気持ちを体感出来ます。時間も短くて丁度良いですが、意外に心に突き刺さる映画でした。

“動物愛護団体”がサーカスの動物曲芸は動物虐待だと訴え、サーカス小屋は閉鎖されました。動物達はEOも含め、動物保護施設へ連れて行かれます。EOは、サーカス団の大好きなカサンドラと離れ離れになり、ここから、彼の旅が始まるのでした。



ネタバレ↓



新しい居場所は、サラブレッドばかりで、彼等は大事に扱われてました。しかし、EOはその馬たちの世話を手伝うため連れて来られ、誰もEOの世話などしません。トロフィー等が飾られた棚を倒して追い出されます。次は、広い放牧場のある農家。 ロバも沢山いるのにEOはなつきません。
ある晩、カサンドラがEOに会いに来ました。EOの誕生日にキャロットマフィンを持って来た。だけどカサンドラはバイクの男と行ってしまった。
一緒に行きたいEOは、脱走します。再び捕まりますが、親切なおじさんが逃がしてくれた。その後、サッカーチームに連れさられ、相手チームの恨みを買ってEOまで、ぼこぼこに殴られ、瀕死状態で治療を受けます。そんな中でもカサンドラの事を思い出すEO。助かった彼は、狐の殺処分場で、狐の死体を運ぶ仕事をさせられます。そのオーナーを後ろ足で蹴り、男は倒れた。今度は、サラミにされそうになります。悪徳業者に売られたのですが、輸送中に運転手は殺された。そこで、車が故障した男と出会い彼の家に連れて行かれます。お坊ちゃまで、お母さんはユペール様。2人が揉めている間にEOは、出て行きます。
草原で牛の群れに会い着いていくEO。建物の中に誘導され、入ると突然、銃声のような音がして暗闇に包まれます。

ラストは食肉の加工工場。加工される牛の死の行進でした。動物愛護団体のサーカス団への抗議で、サーカス団からは解放されたけど、大好きなカサンドラと離され、もっと酷い仕打ちに合い結局は処分されるであろうEO。人間の身勝手さに憤りを感じずにはいられませんでした。そして、動物愛護団体の行動にも考えさせられます。運動するのは良いが最後まで責任を持て!好い人ぶってるんじゃねーよ!って思いました。悲しい結末過ぎて、人間が嫌になる。ロバの黒い瞳があんなに可愛いと思わなかったし、あんなに物事を訴える瞳だとは思わなかったです。案外、良かったです。
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