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別れる決心のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
1.5
[別れる決意、愛する決意] 30点

2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ヘジュンは優秀な刑事だった。仕事の関係で離れた土地で暮らす妻との関係も良好で、不眠症になるほど仕事に打ち込んでいた。ある日、針のような山で滑落事故が起こり急行したヘジュンは、それが事件であると考えて未亡人ソレへの調査を続けていき、彼女の魅力に取り込まれていく。本作品の特徴はなんといっても矢継ぎ早に繰り出される変則的なカメラワークやジャンプカット等々の映像表現である。ヘジュンはソレを監視する中で、妄想で彼女の部屋に入って彼女が手にする煙草の先に灰皿を置いたり、室内のソレと屋外のヘジュンが電話で会話するシーンでは、ヘジュンも妄想で室内にいるソレの横にいて、電話で会話しているという設定ながら普通に会話していたり、二人が取調室で向かい合ってるシーンでは、手前のヘジュンと奥にある鏡に写ったソレに同時にピントが合っていたりと、変な映像表現が1分に1回は出てくる。そして、左右に向かう合う二人、顔に当たる光、海と山などのモチーフが反復され紡がれていく。まぁそこは興味深いのだが、ヘジュンがソレに惹かれていくという一番の肝の部分がタン・ウェイの美しさ頼みであり、警察と容疑者というロールプレイガチ勢、もっと広げるとずっと追われていたい、ずっと誰かの思考の中心にいたいというかまってちゃん系ファムファタールの魅せ方も上手くない。ずっと勢いで騙されてる感は付きまとうが、騙されても良いのではと思えるシーンも多少はあったので深く追及する気はない。ヘジュンの奥さんの存在がもっと魅力的になると良いんだけどなあ、などずっと惜しい映画。
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