mimitakoyaki

別れる決心のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
4.6
公開初日がたまたま休みだったのでさっそく見に行ったものの、その時は霧の中に取り残されたような、この映画何やったのか…と言葉にならずに感想も書けず、というか全然咀嚼できなくて、でも映像やら編集やらなんか奇妙で凄いもの見たな、だからもっかい見ないと!と思って2回目見てきました。

刑事と容疑者の恋愛の行方と事件の真相を追うサスペンスではあるんですけど、パクチャヌクじゃないですか、だからモチロン普通じゃないんですよ。
映像とか構図とかキマりまくってて、見せ方が変態的です。
刑事と容疑者の恋愛の行方だって、そう来たかー!となって、タイトルが「別れる決心」ですが、確かに別れにはなってるんですけど、永遠でもあるっていう、そこで、捻くれてるけど純なものを感じて、何とも言えない余韻で満たされるわけです。

1回目に見た時は、途中で差し込まれる別の事件など、いろんな情報に頭の中が整理できずに、ごちゃごちゃした状態だったのが、2回目見るとクリアになって、音楽や映像の素晴らしさもより感じられるしで、これは、2回以上見るの推奨作品じゃないかと思います。

タンウェイの青っぽい服、海でもあり山でもある壁紙、介護してるお婆ちゃんに読んであげてる青い本、青い薬、清潔感のある取調室で(なぜか2人で)食べる高級寿司と手際良い食後の片付け、コギョンピョを背負っての崖登り、死体視点での描写、目薬、マジックミラー、金魚の水槽、崖、海、波に侵食されて崩壊し海になる「山」…目を見張るような印象的なシーンが山盛り、そして本当に美しかったです。
この細部までこだわった計算し尽くした美しい映像による表現は、ほんとに芸術的だし、何度も見てじっくりと味わいたいです。
(しかし、あの急なズームインとかズームアウトもヘンで面白かったな。ちょっとホンサンスのズームを思い出して…)

タンウェイとパクヘイルが素晴らしいのはもちろんですが、脇もとても豪華で良かったんです。
パクジョンミンにイハクジュにチェデフンにソヒョヌ!
すげーー!最高!
チェデフンのシーンは絶対笑かしに来てるし(あの鼻呼吸機、使うんかーい!笑)、ソヒョヌは中国人設定で釜山訛り?も聞けて嬉しいけど、それ以上に激太りしててはじめのうちはソヒョヌとわからなかったくらいです。
まさかこんなチョイ役のために役作りでここまで太ったってことはないでしょうが、太ったソヒョヌが訛りながら捲し立ててるのが可笑しかったです。
あと、ユテオも2秒くらい出てましたね笑
夫婦の会話には何度も出てきたけど、アンタやったんかい!って笑

音楽も良かったんですが、鼓を使った曲なんかは東洋的な雰囲気がとてもあって素晴らしく、刑事と女性が2人で訪れた韓国のお寺みたいな場所なんかもそうですが、欧米の人が見たら、韓国らしい美しさを感じて印象に残るんじゃないかと思いました。

あの崖、あの海、ほんとにロケーションも良い場所見つけてやってるなーと感心します。
海でのラストシーンもほんとに心に残る切なさと美しさです。
空の色と海の色、波、岩場、全て完璧でした。

そんなわけで、予想のつかないストーリー、演出、映像、音楽、美術、編集、キャストなど、どれも紛れもない一級品だと思いました。
これまでのパクチャヌク作品で見てきた、どぎついバイオレンスやエロを排しても、ちゃんとパクチャヌクの変態性は感じられますし笑、さすがでした。


パクジョンミン 9作目
コギョンピョ 7作目
イハクジュ 9作目

6、7
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