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別れる決心のSQURのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
3.0
韓国映画には「変な映画」と称したくなる映画が多いが、「変な映画」も続くと"定番"になる。
この映画も「変な映画」なのだが、作為的に「変な映像」を撮ろうとしているような印象を受ける。
しかし、その「作為的」な部分故にこの映画は「変な映画」になってるという変な映画だ。

韓国映画の「変な映画」は変なのだが、主人公たちの"意思"は明確であることが多い(復讐心とかね)。その"意思"が「変な映像」に乗っかることで、「映画的感動」が生じる。
この映画は、"意思"が不明瞭で掴みづらい。"恋愛"をしているように見えて、「本当に愛してる」のかは映像のどこからも断定できない。

「良い映画だったな」と思う映画手法に「反復」があげられる。小道具が使い回されたり、ちょっとした台詞やカットが時間をあけて反復されるときそれは「良い映画」になる。
この映画ではその反復の手法が、乱雑に、暴力的なまでに使い回される。そして、そのほとんどの意図が意味不明だ。
しつこく、念入りに、意味不明な「良い映画」の表現を使い倒されると、それは「変な映画」になる。この映画はそういった意味で、無理やり「変な映画」にされている。

まるで表層だけをなぞったかのような"変な韓国映画ライク"なストーリーライン。
使い回される"良い映画の技法"という名のクリシェ。
この映画が、お話として面白いかどうかは分からないけれど、「変な映画故に変な映画」という倒錯した構造を持ち、それ故に変な映画と言わざるをえない。

追記:「見る・みられる」の話を忘れてた。「見る・見られる」をテーマにした映画は良い映画になりやすい。この映画は「視線」を意識させるカットがこれまた乱発する。しかしこれもまた過剰にすぎて、本来の良さと違う次元まで飛び去っている。
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