殺人事件を担当する刑事チャン・ヘジュンは山頂からの転落を装って殺されたと思しき男の妻ソン・ソレを張り込むうちに、その美しさに惹かれ刑事と容疑者という一線を超えてしまうのだが…
プロットを辿るとヒッチコックの「めまい」やバーホーベンの「氷の微笑」を連想してしまいますが、俳優がアジア人だからか、それとも僕が歳をとったせいか二作よりソン・ソレに惹かれるチャン・ヘジュンに感情移入して観てました。
ソン・ソレを演じたタン・ウェイは最初被害者の娘かと間違えられるくらい若く見えるけど意外に43歳とそこそこの年齢で驚いた。アヒル口で可愛らしい印象もあるけどヘジュンを惑わすファムファタールを好演してました。
ソレに利用されている事を自覚しながら職務との板挟みで壊れていくヘジュンと、ソレの方も明らかに彼に惹かれているのが切なく描かれているのだけど、僕には脚本が複雑でソレの動機が難解だったのが残念でした。
映画の技法としては、彼女を見張るうちに「その場にいたい」と思ったヘジュンが次のカットで彼女のすぐそばに居たりと時間と空間を瞬時に操るようなレイアウトと編集にハッとさせられました。
