セサミオイル

別れる決心のセサミオイルのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
4.8
誰も交通事故を起こしたくて車を運転しませんよね。でも毎年交通事故は起こる。
禁じられた恋もそういうもんとちゃいまっか?
突然の正面衝突を回避出来る人なんていませんよね。

この映画、大人の恋とか言われてますけど恋に大人も子供もない。と言いたいのは俺が男だからなんでしょうか。

大人の男も恋すると若者同様ウキウキワクワク、スキップして書斎でサザン聞いて鼻歌混じり、こんな美人が相手してくれて俺はなんて幸せなんだと、色々投げ捨ててバカ丸出しでドップリという言葉通りの状態になり理性も薄れて夢見心地で恋愛を始めます。ただし若者の恋愛ではSEXが重要な位置を占めますが大人にとってそれはさほど重要ではありません。この映画が大人の恋愛と言われるのはその1点が大きいでしょう。
しかしながら浮かれ倒しますので、すぐに嫁には雰囲気バレしてなんだかんだ言っても一般的に男の方はそこで試合終了、若しくは崩壊手前でタオルを投げます。

一方大人の女はこいつだと思ってもどうせコイツも途中で逃げ出すんだろうというところまで読んでそれでも止まらなかったら「えーい!どうにでもなれだ!」と1度覚悟を決めてから恋愛を本気で始めます。男女というのは発想のスタートからして違うんですね。
そういう大人の男と女の恋愛観の決定的な違いがまざまざと映し出されてパクチャヌクすごいなと思いました。

女は美人でミステリアス。チルゴク町事件への何気ない助言は鋭く的を射ていて理知的である。(一方奥様の事件に対する考察は呆れるほど稚拙で、男女関係の機微など全く解ってないという描かれ方でした。煙草に対する反応もソレと奥様とでは対照的に描かれてました。どちらを取るかは男次第ですが。)

そんな女はナイフを振り回す暴漢をやっつける彼の勇姿を目の当たりにする。
こんなの恋に堕ちるだろーーがーーー!
ってゆうwww

パクチャヌクが暴力抜き、致死量ギリギリのエレガントで押し切った訳ですからこの映画から感じられるエレガントたるや映像、音、脚本、音楽、演出、全ての毛穴から噴き出してましたね。
映像やばかった。銃声などの効果音もドゥニ・ビルヌーブ並みに立体的で生々しく、音楽の使い方出し方もほんとに洒落てた。楽曲自体もお洒落でしたね。
ああ、ここ数日はこの映画の世界観から抜け出せないだろう。。。

しかし大人に取っての恋はファンタジーな側面もありながら爆弾であり、正面衝突級の大事故でもあるんだよね。
出来れば映画の世界だけにとどめたいと思いたい(笑)
知らんけど。




最近映画館寒いよね、ブランケット持参しました(笑)