「僕は完全に崩壊しました」生真面目な刑事と美しき容疑者が互いに抱き始める特別な感情。ふたりの出会いは、山頂から転落死した男の事件がきっかけであった。錯綜する疑心と裏切りの果てに生まれる妙な好奇心に取り憑かれ、いつしか疑えば疑うほど、二人は惹かれあってゆく...
なぜか、ビー・ガンの『ロングデイズ・ジャーニー』を観ている感覚に陥ったので調べてみると、タン・ウェイがどちらもヒロイン。凄まじく妖艶で美人。衝動に包まれ、理性が奪われる男の気持ち、よくわかる。
韓国映画、クオリティが高い。カメラワーク・撮影技法、邦画に比して明らかにセンスを感じる。音楽の差し込み方も上品。ただ案外、脚本・ストーリーテリングに関しては詰めが甘い部分もあり、是枝監督・濱口監督をはじめとした物書き監督の方がずば抜けて美しい表現をする。
なぜお互い惹かれ合うのか。ロマンスの根拠に乏しく、映像の美しさで覆い隠しているところ、「物語」ではなく「アート」作品としての映画を観ているようであった。
にしても、タン・ウェイが美しすぎる。表情が美しい上に、台詞が生物のような、そしてハードな演技もこなす女優、日本にはいない... 最近だと有村架純さんですかね、後は新進気鋭・河合優実さん。
生真面目な刑事に原子力発電所の研究員として働く奥さん。白を基調とした何とも淡白な住居。理屈で形作られた家庭。"完璧な人間"であろうとすればするほど、脆く、抑圧に意識を奪われると壊れてしまう...
