こころとからだ

別れる決心のこころとからだのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
4.7
新しく、どこか懐かしいクラシックな情緒を感じる。寂しく、切なく、とんでもない愛の深さを感じる。これ以外のルートは描けないと思える。

愛してると言った瞬間、愛が終わる。不倫じゃなくても、片思いでも、両思いでもあり得る。難しいのは、告げた側の愛は終わり、愛を告げられた側の愛が始まる。こうしたすれ違いがもどかしく、じれったい。

タイミングが大事、自分の気持ちに正直になれというが、世の中そんな簡単な話ではない。

ソレ氏の不遇の人生もむしろ魅力になってしまうのが、何とも人間らしいというか、そう感じることを恥じるべきなのかは分からない。

ただ、基本的にはソレ氏がナップンニョンであり、ファムファタールであると言える。本来結ばれるべき運命の相手と思える人と、こんな出会い方で、こんな関係が続けば、この結末は自然とも思える。

永遠に相手に自分のことを思い続けてもらうこと、そこに命をかけるだけの価値があると思えるのであれば、すべての恐怖や雑念は取り除かれるのかもしれない。

もしかしたらお互いにとってこれまでの疑念や過ちといったすべての感情を持って好転させ、純粋な愛の形を保つには、これしかなかったのだろう。

中国語が分かるとより一層、この作品を理解できるかもしれない。中国人の気質や細かいニュアンスは翻訳を見るより、中国語で理解した方がより伝わる部分もある。