じょにー

逆転のトライアングルのじょにーのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.6
『バビロン』より汚いやないかい!!
いや、ていうか、これまたすごいの観た。「やってくれたな・・・」と思ってたら、「やってくれたな・・・」と思わされた。こんな映画なのかよ。

『フレンチアルプスで起きたこと』『ザ・スクエア』のリューベン・オストルンド監督の作品だってことに気付いて観に来ました。映画撮る度に人の感情ぐちゃぐちゃにすな。さすがです。
贅沢なロケしてるはずなのに贅沢さを前に出そうとするカットがないのがこの人らしい。やっぱり人間にしか興味なさそう。

オストルンド先輩お得意の皮肉の鋭さは止まることを知らず、苦笑い度はついに限界突破。映画って自由だなあ。どっしぇ〜。とか思う始末。
共産主義がどうの、レーニンがなんのかんののくだりは、自分の理解が浅くてついていけなかった。見識を重ねてる人にはあの会話劇が輝くんだろうなと惜しい思い。

振り返ってみて、なんとなく感情よりも言葉を引き出そうとされる感覚があった。恣意の強さが下手に難解な映画よりよっぽど論理的で、過去2作と比べても特に顕著に感じる。なんだか数学の証明問題みたいに感じて、そこがこの映画の良さなんだろうけど自分には相性が悪かったかも。でもこういう気付きもおもしろい。

原題にそもそも含みがあるのに邦題が違うという2重トラップ。僕は好き。監督がどこまで意図してるかわからないけど、それも含めて色んな部分で捉え方が分かれててみんなの意見を見るのが楽しい・・・いや、辛い。

いい映画に心を打たれると人の意見に解釈違いが発生することがあるけど、この映画は何と形容されても許せる。自分でもどの気持ちに浸ったらいいかまとまらない。すごく長い旅をしてきたような気分。
船長がウディ・ハレルソンだったの今気付きました。

残念ながら本作でヤヤを演じたチャールビ・ディーンさんが昨年、32歳の若さで亡くなっているそう。冥福を祈ります。
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