ゆきゆき

逆転のトライアングルのゆきゆきのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.7
最近も様々な地獄絵図を描いた映画があったが、今作はその中でもとりわけ悲惨で笑える地獄。溢れ出すゲロ地獄なので食事前の鑑賞は止めた方がいい。

主要な登場人物に降りかかる不幸は、決して理不尽なものではなくどれも自業自得。1人墓穴を掘って転んでればいいものを、周囲の人間を巻き込んでいくので質が悪い。劇中に出てくる富裕層は総じて想像力が足りない。地位が高くなればなるほど、自身の一挙手一投足が周りに多大な影響を及ぼすのに、それが分からないからこんなことになる。

舞台が島に移って生きるか死ぬかの状況になっても、自分のテリトリーの中でしか物が考えられない劇中の登場人物は滑稽であるが、じゃあ自分もどうなのか?と思ってしまいます。ラストのヤヤの台詞は印象的。相手に対する尊敬や親しみをもっていても、配慮のない言葉一つで破滅の引き金を引いてしまう。

ぐだぐだした台詞の言い回し、笑うに笑えないダークなシチュエーション、癖がありすぎる登場人物と2時間半もあるのに飽きさせない映画。それにしてもチャールビ・ディーンは演技も素晴らしく、今後絶対に俳優として成功すると思えたのに、これが遺作になってしまったのが残念です。
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