ポックンポクン

逆転のトライアングルのポックンポクンのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.8
前半のゲロ祭りと酔いどれ船長とクソ売りロシア富豪の放送など、巧みな悪ノリに笑った。男女の逆転、主義の逆転、汚水の逆転。手榴弾の逆転。
後半の労働と所有そして社会法支配の逆転、性差の逆転にどうオチがつくのかと観ていた。ロバを狩ったシーンにどうなるのかとワクワク期待したが、展開はあまりなく、最後の再逆転のシーンではもうこの映画が終わってしまうんだという寂寥感が押し寄せた。
持たざる者の身分が生まれながらに決まってしまうルサンチマンと、恋人を奪われた女モデルの優しさとも無意識の支配欲求ともとれる振る舞いと、まだ孤島の法に縛られた男モデルの食いぶちのための疾走なのか純に恋人を守るための疾走なのかという曖昧なラストの演出がなす提言は、この映画ではじめて皮肉めいていない。