Midori

逆転のトライアングルのMidoriのネタバレレビュー・内容・結末

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます


過去イチの映画といっても過言ではないかも。2時間半があっという間だった、期待値を大幅に超えてきた。

金持ちで何一つ不自由なく、乗組員たちを虫けらのように扱う豪華客船の客たちが、思わぬ出来事に混乱し絶望と失意の中死んでいく(もちろん乗組員も死んだが、彼らに起こる悲劇は描かれていない)。一方で、乗組員たちは少なくとも何が起こっているのかは理解しており、

島でサバイバル生活が入った途端、その階級システムは大逆転する。船上では名前すら与えられていない掃除婦が、生存に欠かせない活動をほぼ一手に担う。ヒエラルキーのトップに立つ。彼女のサバイバル精神と不屈な精神に拍手を送りたくなるが、彼女の行動は、結局金持ちたちと同じようなこと。美しい男を自分のモノにし、食糧などを一部独占し、手なずけたい相手に物資を優先的に分配する。

めちゃくちゃになる船の中で、ロシア人の客が資本主義や共産主義の話をしていたのは、これから起こる「革命」を暗示していたのだろう。その伏線に驚く。また、革命が起こって共産主義がスタート!するかと思いきや、待っていたのは、「逆転のピラミッド」。本当の平等なんて結局実現できない、という胸糞悪くて性悪説満載のストーリー展開。

地雷の製造者が愛について語り、製造した武器で死んでしまうのも最高に皮肉が効いてて最高だった。

エンディングも素晴らしい。助け合っていたように見えた2人が、結局は自分が優位に立つことしか心の中では考えていないことを表した。

 
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